男は長距離輸送のライダーだ。なので今日も依頼を受けて目的地へと走る。そんな彼が運ぶ荷物の種類は雑多である。というか取り合えずマシンに積めさえすればなんでも運ぶのがライダーだ。そしてある日、男にとある依頼が舞い込んだ。
「この子を聖地まで運ん
で欲しい。」
ボロ布をまとったじいさんが、その後ろに隠れてライダーを覗き見ている少女の頭に手を乗せながら言う。
「聖地だって?これはまた随分厄介なところへの依頼だな。」
老人の依頼先に男は顔をしかめた。そう、何故なら『聖地』とはこの世界でも十指に入る程辿り着くのが困難な場所だったからだ。
「ハイライダー・ニンジャよ。そなたならそれが出来ると聞いて依頼するのだ。どうか、この子を聖地へ連れて行ってくれ。」
そう言った途端、老人の胸から鮮血がほとばしる。その直後にその原因となったであろう銃撃音が届いた。
「じいさんっ!」
男は咄嗟に老人と少女を遮蔽物の陰に押し倒すと腰の銃を抜き取り襲撃者の影を探した。そんな男の手を掴み瀕死の老人が男に何かを掴ませながら懇願する。
「この子を・・、この子を必ず聖地へ・・。この子こそ、新たな・・。」
そこまで言うと老人はこと切れた。
「ちっ、命がけの依頼かよっ!ずりぃぞ、じいさんっ!断れねぇじゃないかっ!」
かくして男と少女の聖地への旅が始まった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-09-06 20:00:00
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会話率:44%