私たちは、意を決して、王城へと乗り込んだ。
私たちにできる、最後の仕事を成すために。
もっとも、それすらも、投げ出したと言われても仕方の無いことではあるが、それでも、それは、私たちのたった一つの願いだった。
与えられる場所が、決して、口に
出来ない場所であろうとも。
『簡単に言えば性格の不一致』の続き。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-22 22:00:00
7289文字
会話率:38%
昔ながらの喫茶店で、高校を行かずにアルバイトをする十八歳の少年の遼。彼は体が弱くても自分よりも他人を思うことが出来る子だ。
ある日、喫茶店に現れたさなえに出会う。恋をしないと決めていた遼の心は揺れる。彼女は、一つ年の差があっても強く優し
い心をもっていて会うたびに遼は彼女に引かれていく。それは、さなえも同じだった。二人が恋人になるまでには時間がかからず、そして結婚しどこまでも一緒に生きていくのも……。
遼の心友で過保護な性格の隼咲とさなえとの関係も明らかになる。
遼は、いくつもの困難があっても、周りに支えられながら生きていく。
これはあることをきっかけに、遼は自分に残された時間と戦いながらも、さなえと出会ってからの出来ごとを自分が生きた証を書いたあなたに送る物語である。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-06-29 14:08:02
40082文字
会話率:51%
城島淳一はヒマをもてあましていた。もとは高速鉄道のエリート車掌だった彼も今では失業中の身、おまけに女房には逃げられたときては都心の大きな公園でぶらぶら時間をつぶすほかに何もやりたいことが思いつかなかった。
そんなところへとびきりの美女が
現れて「あなたをさがしていましたの」と言われたら舞い上がるのも無理はないだろう。どういうわけかこの女は車掌を探していると言うのだし。
しかし甘い話に気楽なオチはない。いつしか眠気におそわれて、きづけば北海道。知らぬ間に時代がかった車掌服を着せられてSL試乗会を任されているという混沌状態。
でもどこまでもキレイな女の子に弱いこの男、疑いながらも情に流されて女の言うままに車掌の役を演じて大勢の客を仕切ってSLに乗り込ませ、やっと出発したと思ったのもつかの間、勝手に女が客車を切り離したのも大目に見て、女に言われるままに運転台の機関手までも外に放り出し、謎の力で機関車を操るこの女と破滅めざして爆走まっしぐら。
聞けばこの女、この汽車をとある山頂まで走らせたその後に崖から落下させ、その下にある深い湖に沈める気らしい。そこに女の国があり、女はどうしてもそこへ帰りたいからだと言う。すでに幾度も不可思議な現象を見せつけられた城島はその話を信じる気になっていた。いや、それどころか、この女とどこまでも一緒についていきたいと願うようになっていた。それは女も同じ気持ちだった。
だが残酷な現実と異界の掟がそれを許そうとはしなかった・・・訪れる別離、そしてその後でも男が抱く希望とは・・・折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-08-17 21:35:25
18109文字
会話率:49%
みやびは高校の英語教師に思慕を抱いていた。
最終更新:2018-11-13 20:06:28
759文字
会話率:0%
成績の振るわないごく普通の女子高生とその家庭教師との恋模様。
青春真っ盛りの女の子のお話し。
最終更新:2016-01-17 20:26:49
1645文字
会話率:48%
ベットから体を起こした彼女は髪をかき上げた。長らく眠っていたのであろう。髪に寝癖が付いているのが自分で分かった。カーテンから、うっすらと太陽の光が入っている。夜明けに合わせて彼女の隣にいる彼が起こしてくれたのだろう。少しだけカーテンを開け
て、ぼんやりと朝焼けた空を眺めていた。
不意を衝くように、彼女の頭を彼は撫ぜた。寝癖も気にせず、ただ彼になされるがままになる。彼は彼女が抵抗しようともしないことをいい事に、そのまま彼女の頭を胸に抱き寄せた。
「ねえ」唐突に彼女が言った。「あの空の向こうまで行けるかな?」
虚ろな表情を一切変えず言葉をこぼすその様は、まるで人形を思わせた。
そんな彼女に彼は言葉では返さず、抱きしめる力を強めて応える。彼女は彼に言葉を再び投げかける。
「もし私が空の向こうに行ってしまうことになったら、その時は貴方も一緒にいてくれる?」
「勿論さ。どこまでも一緒にいる。天どころか、地獄の果てでも一緒にいる。当たり前だ」
そこで初めて彼女は虚ろだったものから表情を崩した。彼女は不安だったのだ。そして彼の言葉でその不安が払拭された。
「私、学校の人や色んな人から『怖がり』『ビビり』って言われてたけどね。貴方と一緒なら、何処へだって、何だって、何も怖いものなんてないんだよ」
そう言って明るく笑い、抱きしめている彼に抱きしめ返した。
彼女のそばにいる彼は現実の存在ではない。言うなれば、統合失調症による彼女の妄想だ。妄想に浸れば浸るほど彼女の心は救われ、そして不愉快な現実と切り離されていく。煩わしくも楽しい人間関係など、そこには無い。
客観視するならば、彼女は紛れもなく孤独な存在と言えた。だが、本当に孤独にさせたのは誰か。
彼女は妄想にしか拠りどころを見いだせず、妄想にすがるしかなかったのだ。そこまで追い込んだのは誰か。彼女の精一杯の努力を一蹴したのは誰か。
怒りにもならない理不尽なこの境遇に、誰が同情するというのか。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2015-08-24 18:59:49
815文字
会話率:29%
「いつまでも一緒」「どこまでも一緒」
そんなこと。今はなくたっていいよ。
今はただ君と、未来への幸せを語るだけで充分なんだ。
最終更新:2014-12-12 01:19:51
1540文字
会話率:62%