上州屋という代々続く呉服屋、当代は徳三郎と言う。
妻の名はおそめと言い、旦那にはつくす、奉公人の面倒はよく見る、出入りの者からの評判も高いと絵に描いたような人柄で、周りが羨むほどの仲睦まじさだった。
ところが三年の月日がたったある日、おそめ
は病に倒れ、帰らぬ人となる。
徳三郎は一周忌を済ませたあと、親族や店の者から後妻を娶るよう強く勧められる。
お相手は店の奥で働いていて、おそめにたいそう可愛がられた、おすわという女性。
おそめが認めていた人ならと徳三郎は彼女を後添えにむかえる。
ところがそれから20日ほどたったある夜、徳三郎はおすわど~ん、と表の戸をバタバタ叩きながら呼ぶ声に気が付く…。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-22 23:44:55
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