魔力が人に宿る世界。
火・水・草──三つの属性は、生まれた季節に応じて人に与えられる。
それは祝福であり、ときに負荷でもある。
魔力と共に生きることが当たり前になった現代社会、人々はそれぞれの力と向き合いながら、日々を歩んでいる。
──私
立常宮学院高等学校。
東京郊外にあるその高校に、この春、ひとりの少年が入学した。
名前は不帰谷みこと。三月生まれ、水属性。
仲間との出会い、訓練、勉強、そして何気ない会話のひとつひとつが、彼の中に眠る「力」と「意味」を少しずつ照らしていく。
教室で交わす言葉も、戦いで放たれる魔法も、どちらもこの学園の「日々」を形作っている。
分かり合い、すれ違い、ときに衝突しながらも支え合う──
そうしたすべての関係が、彼らの生き方を織りなしていく。
これは、魔法と共に生きる彼らの、日常と選択の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-17 23:05:20
20520文字
会話率:32%
──死にたくない。たったそれだけの願いが、僕を“人間じゃない何か”にした。
この世界には、一生に一度だけ、本物の願いが叶うルールがある。
家族を失い、老いと死を恐れていた僕は、迷わずこう願った。
「不老になりたい」──死ななければ、幸せ
になれると思った。
でもそれから、百年が過ぎ、二百年が過ぎ……
誰も僕を覚えていない。名前を呼ばれることもない。
記憶は薄れ、感情は削れ、笑い方すら思い出せなくなった。
――ねぇ、今の僕って、本当に“僕”なの?
残っていたのは、願いの前に書いた一冊の日記。
最後のページだけ、破られていて読めない。
そこにあったのは、たぶん“本当の願い”。
未来の僕に向けた、終わりの言葉。
永遠に生きることを選んだ僕が、
もう一度だけ願うために旅を始める。
それは、世界でたったひとつの──
自分で自分を救うための願いだった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-15 20:30:00
5365文字
会話率:7%
紅玲華(こう れいか)は、役人の家に生まれた三女。だが、「女子は裁縫や芸事を学ぶべき」とされ、剣を学ぶことは許されなかった。しかし、密かに剣術に憧れ、双子の兄・紅凌(こう りょう)の名を借り、男装して学問を学びながら剣の稽古を続けていた。
穏やかな日常は、ある日突然終わりを迎える。
突如として街が軍に襲われ、屋敷は焼かれ、家族や友人は無惨に命を落としていく。
逃げ惑う中で見たのは、血に染まる兄の姿だった。
「今からお前は僕だ」
瀕死の凌は玲華にそう告げ、命を落とす。
家族の無念を背負い、玲華は紅凌として生きることを決意する。
しかし、それは更なる運命の波に飲み込まれる始まりだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-13 00:00:00
49828文字
会話率:26%
高校時代、静かな街の喫茶店で出会った澪と遼。
二人は少しずつ心を通わせ、やがてかけがえのない存在になっていく。
しかしある日、遼は何も告げずに姿を消した。残されたのは、彼の筆跡だけが残る手紙と、「探してほしい」というわずかな言葉。
遼の痕
跡を追いながら、澪は彼が抱えていた過去と、守り続けた“もう一つの命”の存在を知る。
それは、遼が「伝えることのできなかった優しさ」であり、「自分よりも誰かを思う強さ」だった。
風の中に散りばめられた言葉、届かなかった手紙、記憶の海辺。
さよならの意味を探しながら、澪は“前を向いて生きること”の意味に辿りついていく。
——これは、「さよなら」を越えて想いが残る、
切なくも優しい再生の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-07 00:52:16
10792文字
会話率:20%
16歳の高校生、水瀬悠斗(みなせ・ゆうと)は、
クラスメイトからの悪質ないじめに耐え切れず、不登校になっていた。
無視、暴言、机の中の腐ったパン、SNSでの晒し。
助けを求めることもできず、彼は次第に心を閉ざしていく。
ある夜。
「全部
、夢だったらいいのに……」と願いながら眠った悠斗は、
目覚めると――異世界の“赤ん坊”になっていた。
だがそれは、ただの転生ではない。
『ここは“夢の世界”。眠るたびにこの世界に来る。
与えられた“目標”をクリアすれば、元の世界で目覚められる。
だが、失敗すれば……“夢死(ゆめし)”する。
――つまり、現実でも死ぬ。』
最初の目標は、「赤ん坊のまま1日生き延びること」。
だがこの世界は残酷だ。
赤子すら生贄にされる村、異形の魔獣、そして人間の狂気――。
無力な体、思い通りに動かない四肢と声。
“ただ生きること”すら許されない試練が、彼を待ち受けていた。
現実と夢の狭間で、少年は何度も絶望し、
それでも生きる意味を探しながら、
毎晩“命懸けの異世界ゲーム”へと飛び込んでいく。
眠るたびに、命が試される。
すべての目標をクリアすれば、異世界に永住できるというが……
――それは、安息か、さらなる地獄か。
この世界に救いなどない。
あるのは、「目覚めるために生き延びる」という、唯一のルールだけ――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-05 12:34:00
17646文字
会話率:34%
スマホに届いた奇妙なアプリ『D:WISH』。
それは“願い”を賭けて命を燃やす、選ばれし者たちのゲームだった。
高校生・真堂連司は、何者にもなれず、何者にもなろうとしないまま、空虚な日々を過ごしていた。
だがある夜、“影”と呼ばれる怪物に
襲われ、ついに自身の声で願いを放つ。
「死にたくない」
その言葉とともに彼の肉体に刻まれる“痕(しるし)”、契約者〈エイド〉の出現、そして謎多き少女・姫ノ木彩瀬との出会い。
「何を願うか」がすべてを決めるこの世界で、“何も願えなかった”少年が、過去と向き合いながら少しずつ変わり始める。
願いのない者に、戦う資格はあるのか。
生きることすら願えなかった彼が辿り着く、最初の選択とは。
――これは、「生きたかった」と言えなかった少年の物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-29 19:00:00
5816文字
会話率:17%
気がついたら草原のど真ん中。
え? ここ、どこ? 私、東京にいたよね??
アレってドラゴン?
今のは魔法?
ええ? ここ、異世界!?
……まぁいっか。
単に生きる舞台が変わっただけだ。
地球で何か大事なものや目標があ
ったわけでもなし、私は「自分の生きたいように生きる」くらいのことしか考えてない。
それは異世界に来ても変わらないかな。
まぁそんなジコチューだからぼっちなんだけど。
ぼっちなのも異世界に来ても変わらないかな。(涙)
……え? 私に友達ができそう……??
そんなこと言われても信じられないよっ。
「はぁー。それにしても一度生まれ変わったことはあるけど、今度は異世界転移? ちょっと私の人生、奇想天外過ぎない?」
なんの脈絡もなく異世界に来てしまった少女が、のんびりと冒険するだけのありふれた物語。
チート級の身体能力と魔法能力を手に入れた少女のやりたいことは、目立たず自由気ままに生きることだけ。
これだけの力があっても、崇高な使命感や高尚な理想とは一切無縁のものぐさぼっち少女の冒険が今始まる——!
書きためがなくなるまで(恐らく50話程度)は遅くとも二日に一度は投稿する予定です。
ほどほどにお付き合いいただけましたら幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-24 21:03:14
302608文字
会話率:29%
「パンがなければ、作ればいいじゃない――小麦から!」
とある小さな王国では、深刻な飢饉が民を襲っていた。主食であるパンの元、小麦は収穫量が激減し、貴族は倉を閉ざし、農民は痩せた土地で疲弊していく。そこへ、現代日本の高校生が突如として異世界
転移を果たす。
目覚めたのは、荒れ果てた畑と泣きじゃくる子供たちの真ん中。混乱する主人公だったが、彼が持ち合わせていたのは、日本で学んだ現代の高等教育で獲得した平凡な教養と、なぜか異世界でも通じる言語能力だった。
「土壌が酸性に偏っている? なら石灰を撒けばいい。窒素固定が不十分? マメ科植物の出番だな」
主人公は、石灰岩から作った消石灰で畑の土を改良し、輪作と緑肥を導入。クローバーや豆を使った肥料循環を築き、痩せた土地を少しずつ蘇らせていく。雨が続けば排水路を掘り、干ばつがくれば簡易な灌漑装置を設ける。種子は選抜交配で収量の高い系統を育て、貯蔵には煙と乾燥を併用してカビを防ぐ。こららの知識はすべて高校の授業で習ったレベル――だが、それはこの世界にとってはまさに“神の技術”だった。
次第に「奇跡の畑」の噂は広まり、王国の農政顧問として迎えられる悠真。だが、彼の改革は既得権益を持つ貴族や教会の反発を招き、命を狙われることになる。
「神の御業に逆らうな」「パンを生むのは祈りだ、知識ではない!」
それでも主人公は、民の飢えを前にして立ち止まらない。中世の常識と現代知識の狭間で、パンを――いや、「生きる糧」をつくる戦いが始まる。
果たして悠真は、この時代に「食べることは生きること」だと伝えられるのか。そして、自らの帰るべき世界への道は開かれるのか――?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-23 11:53:03
1662文字
会話率:33%
大阪・京阪沿線の下町、萱島商店街の小劇場「UP TO ME」でしか出番のない三人の芸人
―殿下(元・有望政治家志望のツッコミ)、ジーサン(前衛紙芝居の奇才)、先生(熟女にモテる恋愛相談家)が結成した地下以下の芸人ユニット、それがモスクム
オル。地上に届かない笑いを模索する中、支援者であり名付け親の栗尾鞠子と共に、ささやかな日々と舞台を重ねていく。
だが、劇場の閉鎖、すれ違い、過去との葛藤、そして地元の芸人たちとの対立を経て、やがて三人は別々の道を歩むことに。“地底”に生きることの意味を問いながら、モスクムオルは静かに解散するしかしそれは、彼らの終わりではなく、新たな旅の始まりだった 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-22 16:40:04
43394文字
会話率:30%
『転生したらバンパイア第3王女だった。』
病弱で外にも出られず、病院のベッドで静かに死を待っていた少女・日和。
そんなある日、病室に迷い込んだ一匹の蝙蝠を助けたことが、彼女の運命を変える。
それは血を拒む異端のバンパイアであり、やがて衰弱
し息絶える寸前だった。
「食べなきゃ…私みたいに、なっちゃうよ」
指を噛み、自らの血を分け与える日和。
──そして、死の直前、ふたりの魂は交わり、契約が結ばれる。
目覚めた先は、バンパイアが支配する異世界。
日和はなぜか“第3王女”として転生していた。
だが、その身体は太陽にも焼かれず、血を飲まずとも生きられる、異質な存在。
オッドアイに宿る異能《魅了の微笑み》。
人を思いやる優しさを失わぬまま、彼女は“夜の国”で生きていく。
これは、永遠に生きることを選んだ少女の、優しくて強い“再生”の物語──。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-21 15:30:00
13389文字
会話率:26%
事故死した兄の代わりに生きることを強要されてきたヒロインとその周囲。
最終更新:2025-06-21 06:43:55
6463文字
会話率:6%
その日、普通の高校生・リュウは、"命の声"に呼ばれて異世界に召喚された──。
目覚めた先は、生命が力として具現化した世界〈ビオティア〉。そこは糖、脂質、タンパク質、核酸といった「命の柱」が支える神秘の地だった。
リュ
ウに告げられる使命。それは、命の工場を蝕む「疾患族(シッカンズ)」──糖尿病鬼、脂質異常獣、骨粗鬆魔、高尿酸鬼など、生命バランスの崩れから生まれた恐るべき怪物たちを討つこと。だがそのためには、「生化学」の叡智を身につけ、命の営みそのものを知り、理解し、受け入れねばならない。
糖の国〈グルコーサ〉、タンパクの城、脂質の谷、核酸の塔、酵素の森、そしてTCA神殿──体内のメカニズムを舞台とした冒険の中で、リュウは少しずつ「命の構造」と「病の正体」に迫っていく。
エネルギーとは? 栄養とは? そして、健康とは何か?
これは一人の少年が、体の中に広がる巨大な宇宙で、
「生きることの意味」と向き合う壮大な物語──
《世界を救う鍵は、君の体の中にある。》
――冒険×科学×ファンタジー!
異世界×生化学の新ジャンル・エデュテインメント、ここに開幕!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-18 09:00:00
57685文字
会話率:27%
目覚めたら、そこは理不尽な痛みが支配する異世界だった。
全ての存在は苦痛を背負い、生きること自体が試練――しかし、俺だけが違った。
「お前……なぜ痛みを拒絶できる……?」
世界が定めた公理すら覆す俺の力。それは“問う”ことに
よって発動する、究極のスキル――《反証者》!!
「なぜ?」と問うた瞬間、世界の常識が崩壊し、苦痛の法則は俺の前に跪く!
神々すら恐れる“公理の破壊者”として、俺はこの世界に挑む!
痛みを超え、叫びを力とし、祈りを武器とする――これは、俺の戦いの記録だ。 折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-13 14:22:16
429文字
会話率:0%
16歳の子爵令嬢アメリア・ロセリンは、ある日ふと、前世の記憶を思い出す――それは言葉も名前も持たぬ、一羽のハトとして生きた日々。
そして、いつもそばにいて羽を寄せ合っていた“夫”もまた、彼女と同じく生まれ変わっていた。現在は誰もが一目置く存
在、公爵家の令息ユーリ・ディアナス。
人として生まれ変わった今、身分の差、過去の記憶、そして人々の視線がふたりの間に立ちはだかる。
嘲笑、いじめ、そして恐れ――それでもアメリアは、空を舞う風のようにしなやかに、自分の意思で生きることを選ぶ。
「羽がなくても、私はあなたの隣を飛べる」
これは、かつて羽を重ねたふたりが、もう一度“人として”心を通わせ、未来を選び取るまでの物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-11 18:00:00
12805文字
会話率:24%
それは、無数の終わりを迎える物語。
魔王が討ち果たされ、平和となった世界。
勇者を辞した青年たちが過ごす、当たり前の日々。
故郷を捨て、永劫を生きることとなった咎人の幾年。
そして、託された願いの行く末。
最も弱き叛逆者の切り拓いた、未
来の先の物語。
#この物語は「かみがみ~最も弱き叛逆者~」の後日譚です。
全ての狩りを終え、森の奥に消えて行ったコボルトのシェート。
そんな彼の残したものが、何を変えたのか。
彼を知る者たちがどんな思いを抱いて、日々を生きていくのか。
そんな『掉尾』の物語です。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-05 18:00:00
109533文字
会話率:50%
1886年、アトランタ。
かつて戦争の炎に包まれたこの街は、今や金と薬で輝いていた。
街中の新聞はインチ薬の広告で埋め尽くされ、「奇跡の万能薬」の見出しが躍る。
人々は痛みを忘れたがっていた——戦争の傷、貧困の苦しみ、生きることそのも
のの疲れを。
ジョン・ペンバートンは、暗い研究室で新たな調合を試みていた。
かつて南軍の軍医だった彼は、戦場での負傷をきっかけに薬剤師の道を選んだ。
しかし、薬の世界はすでに金儲け主義に染まり切っていた。
「本当に人を癒す薬が作りたい……」
そう思っていたはずなのに、いつの間にか彼もこの街の風潮に飲み込まれていた。
売れる薬を作るための調合、広告のための誇張……それが現実だった。
だが、彼の老いた身体が警鐘を鳴らし始めていた。
「俺の時間は、もう長くない……」
ならば、最後に何を作るべきか?
人々が本当に求めるものとは何か?
そんな思いに突き動かされるように、彼は試験管を握りしめた。
甘く、刺激的で、疲れを忘れさせる飲み物。
しかし、それは単なる薬ではなく——
コカ・コーラ という名の、時代を変える一滴となるはずだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-01 21:45:18
30584文字
会話率:39%
「これより、第一王太子レオナルド・グレイファルドは、セリナ・アルベリヒとの婚約を破棄する」
社交界最大の舞踏会の夜、帝国中の貴族と市民が見守る中、王太子は声高らかに宣言した。
平民の少女との“真実の恋”を選んだと。
会場は拍手と喝采に包ま
れ、捨てられた令嬢はひとり静かに頭を下げ、こう告げる──
「……わかりました」
それは、すべての“始まり”だった。
実は彼女は、帝国一の頭脳と呼ばれながら、王家の政治的道具として生きることを強いられてきた元・天才少女。
だが婚約破棄によって自由を得たその瞬間から、セリナ・アルベリヒは「本気」を出す。
商業、軍事、宗教、民衆、そして情報──
すべてを味方につけ、彼女は国家の裏側を掌握してゆく。
「私を侮ったこと、きっと後悔させて差し上げますわ」
復讐心から始まったその一歩は、やがて帝国を飲み込む改革となり、王権すらも震え上がらせる。
かつて「令嬢」と呼ばれた少女は、2年後、「摂政」として玉座に立つ──
これは、ただの復讐劇ではない。
“王を越える者”が誕生するまでの物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-31 18:00:00
19291文字
会話率:33%
わたしは、悟った。
好きな人と人生をすごそうなんて考えるのは、馬鹿げている、と。
わたし、アサレアには二回ほど死んだ記憶がある。
どういう因果か――もしかしたら、わたしの魔女の血がそうさせたのかもしれないけれど、わたしはどうやら、死
んだら過去に戻ってしまうようだ。
いつまでループが続くのかはわからないけれど、一回目の人生も、二回目の人生も、死んだ後に十六歳のわたしに戻っていた。
そう――一回目の人生では婚約者、二回目では夫だった男から、プロポーズされる一年前に。
そんなわたしの人生は、一回目も二回目も、思い出せばクソみたいな人生だった。
まず一回目、わたしは、大好きな男、エミディオを庇って命を落とした。
だが、これはまだいい。まだ、愛しい人を愛したまま死ねたから。
問題だったのは二回目だ。
一回目の人生で経験していたからか、運よく死を回避したわたしは、エミディオと結婚した。
順風満帆な結婚生活…のはずだった。
けれども結婚して三年目。
わたしは夫に殺された。
そして悟った。男なんて好きになるものじゃない。
入れ込むから傷つくのだ。淡々と、そう、いっそ嫌いなくらいがいい。そんな男を選んで、三度目の人生、今度こそ生き抜いてやろう、と。
愛や恋なんていらない。わたしは、死にたくないのだ。
そう決意したわたしは、三度目の人生をもう一人の男と生きることを選択する。
それは、わたしの大嫌いな幼馴染だった――
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-29 20:10:00
103369文字
会話率:32%
普通に生きたかった。
ただ、それだけだった──。
砂場隣(すなば となり)は、表向きはごく普通の高校生。
だがその正体は、生まれつき「異能」と呼ばれる特異な力を宿す、少数種族の末裔だった。
幼い頃から、力を隠して生きることが隣の日常だっ
た。
異能を持つ者は、社会から恐れられ、疎まれ、排除される。
それが、この世界の暗黙のルールだったからだ。
自分を抑え、誰にも迷惑をかけず、波風を立てず──
そんな静かな日々を守ろうとしていた隣だったが、
ある日、仲間の少女「アオ」が不良たちに絡まれる事件をきっかけに、
抑えていた異能が暴走し、ついに【白化】を起こしてしまう。
白く染まる髪。高まる身体能力。失われる冷静な理性。
──そして、異能の必殺「黒爪(くろつめ)」の力。
隣は知ることになる。
この力はただの武器ではない。
それは、「檻」だ。
自分を縛り、苦しめ、時に、大切なものを傷つけるかもしれない呪いなのだと。
隣は誓う。
この檻に囚われたままでは終わらない。
己の力を、己の意志で制御できるようになるために。
そして、守りたいものを守るために。
これは、
力に囚われた少年が、
己の檻を壊し、
「本当の自分」を掴み取るまでの物語──。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-27 18:00:00
63436文字
会話率:31%
『三億年前に遡り、神の支配の始まりを砕く――抗いの魔王譚』
現代の人間は、感情を制御され、番号で管理される存在。
生きることも、死ぬことも、神の許しがなければ叶わぬ“飼われた生命”。
それが神々によって完成された「人間家畜化システム」だっ
た。
だが、そこに異分子が生まれた。
神の儀式で妹と引き裂かれ、魂だけを“古のパンゲア”へと飛ばされた少年。
彼が目覚めたのは、三億年前――
神々がまだ覇権を巡って互いに争い、人間を完全には制御しきれていない時代。
そこは、かつて神に抗い敗れた“魔王”が最期を迎えた地。
その魔王は死の間際、未来から魂を呼び寄せることで、最後の賭けに出ていた。
少年は魔王の「器」として選ばれ、力とダンジョンを授かる。
彼の戦いはただの復讐でも正義でもない。
それは、ただ一つ――
「この地を、人が人として生きられる世界にするため」
神の支配が、やがて人間を完全に飼いならすことを知る彼だけが、
この時代で抗う理由を持つ。
未来の悲劇を変えるため、彼は“魔王”として神々の理不尽に立ち向かう。
三億年前は、すべての始まりだった。
信仰によって神は力を得、
精霊は進化し、
ダンジョンは神の軍政拠点として乱立する――
だが、そこにただ一人、
“信仰”ではなく“意志”によって立ち上がる魔王が現れる。
これは、未来を変えるために過去へ抗う少年の物語。
神々の栄光の礎となる“パンゲア大陸”で、
神を超える者となるための、“最初の反逆”が始まる――!
ご都合主義な部分もちょくちょく出てくる作品です。
三億年前に人なんていませんが処女作なこともあり目をつぶって楽しんでもらえたら助かります。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-22 19:52:11
4814文字
会話率:29%