伝説のラスベガスヘッドライナー香澄のボディーガード千。元々お笑いコンビ千三郎の突っ込み。篠崎歯科の3階。午前3時。スマホに向かって、小説を打っている。
新乃丞は新月の夜、砦の見張り台に登った。
この暗闇の中を馬を駆って城方から、影が来る。
「夜馬の法」と呼ばれる忍の術。黒装束に黒い頭巾。見事に木立を抜け、泥濘を飛ぶ。
「いかんな。砦の築陣に寄り過ぎ、いや、かわしたか?」
新乃丞は、見張り台を駆け降りた。そこは罠になっており、かわす方向は1ヶ所しかない。その1ヶ所に馬の脚を掬う縄が張り巡らしてある。
馬は前のめりにつんのめり、黒装束は投げ出される。その空中で、鞍から右にぶら下がって新乃丞は抱き留めた。金木犀の香りがした。
竹ブスマの穴を通り過ぎ、雑木林に黒装束を落とした。
さらに、放馬され猛る黒装束の馬の手綱をつかんで飛び降りる。闇夜にも輝くような白馬だった。
「白神?咲姫様?」
ドウドウドウ
馬を収める。手綱を持って、黒装束の落ちた雑木林に向かい、片膝を突く。
「失礼ながら。名馬白神。咲姫様であられますか?」
雑木林に捕まって、黒装束はもがいている。
「これをなんとかせよ」
「はっ。ご無礼」
新乃丞は黒装束を抱き上げて、馬の前に座らせた。
「助かった。礼を言う。名は何と申す」
「名乗るほどの者ではございません。名馬白神に乗られるは咲姫様とお見受けいたします。お怪我はございませんか?」
「怪我はない。見事に受け留め、草木に降ろしてくれた。見事な身のこなし。天晴れじゃ。褒美を遣わす。苦しゅうない。名を名乗れ」
「はっ。新乃丞砦、足軽大将槙新乃丞にございます」
咲姫は黒装束の片袖をチギリ、新乃丞に差し出した。新乃丞は顔を伏せ、にじり寄って、両手で差しいただく。
「新乃丞顔が見たい。顔を上げよ」
礼儀としては恐れ入って下がらなければいけないが、美丈夫で評判の咲姫を見たかった。
顔を上げると、闇夜にお互いの眼が合った。
「見事なまなこをしておるな」
「咲姫様こそ。麗しい眼をしておられます」
そのまま見つめ合う。
ニコッと笑ったと思うと、咲姫は立ち上がって、新乃丞の持っている手綱をつかんだ。
「帰る」
新乃丞は名馬白神の下に控えて、手を組む。
咲姫が足を乗せて、ひらりと馬上に戻る。
新乃丞は手綱を離して、ズズッと退いて。平伏する。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-03-14 19:06:24
6424文字
会話率:63%
公園で友達と散歩をしていた幼少期の私は、雑木林で不思議な声を聞きました。
最終更新:2025-02-16 02:22:10
3165文字
会話率:21%
「え? シュウイチ、お前、日曜にアヤカんち行かねーの? みんなで行くって話してただろ?」
「ああ……」
ある日、東京都内の高校に隣接する雑木林で、エイリアンが発見された。
「おれ、ちょっと体調わりーから……。じゃあな、また月曜」
「あ、おう。いいのかよ。そうそう行ける機会ねーのにな……」
「ふふっ」
そのエイリアンは、蟹によく似た姿をしていた。
「ん? なんだよ?」
「いや、シュウイチは行かないだろ」
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最終更新:2025-02-08 11:00:00
1716文字
会話率:66%
少数派、マイノリティの声がより響くようになった世の中。生きる自由に死ぬ自由、どんな人間であっても、その人権は尊重されるべき。死ぬ権利もまた尊重。そうして、世界の多くの国々で安楽死が認められることとなった。
『ようこそお越しくださいまし
た。あなたにとって、良い旅立ちとなりますように』
安楽死施設、ユーサネイジア・センターに青年は足を踏み入れた。
どこからか流れてきた自動音声に出迎えられ、青年はそのスピーカーがあるであろう方向へ顔を向けた。しかし、見つけることができず彼は、ふん……、と鼻を鳴らした。緊張を隠すための虚勢だった。声がした瞬間、ビクッとしたことが恥ずかしかったのだ。
前を向き直した青年は、正面にある受付カウンターに座る女と目が合った。女はニコッと微笑んだ。カウンターには照明が備え付けられているのだろう、その光が女の皺に影を落とした。
青年は口角を上げようとしたが、やめて、目だけで辺りを見渡した。
病院の待合室。あるいは大企業のロビー、それか最先端の研究所といった雰囲気だ。黒い大理石のタイルの床、壁は白。青年の後ろ、建物の正面部はガラス一面で、太陽光を大きく取り込んでいる。
受付カウンターへ歩き出した青年は、ちらりと後ろを振り返った。
平原とその奥に雑木林が広がっており、一本の灰色の道路が伸びている。その上を走るバスの後部が見えた。
青年は前を向き直した。鼻から息を吐く。臆したのではないと示すように。
「ようこそお越しくださいました。安楽死をご希望の方ですね」折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2024-06-10 11:00:00
5855文字
会話率:40%
キョウカは今まさに柵を握る手に力を入れる。彼女がやって来たのは、昨日遺体が見つかったばかりの雑木林だった。決意が揺らぐのを振り払い、身を乗り出そうとしたその時だった。彼女を陰湿ないじめから救った転校生、ミツキが現れる。ミツキの明るさに何度も
救われてきたキョウカは、彼女に誘われるかのように二人が出会ってからの日々を思い出す。やがて少女は二人の思い出である大切なお守りを託し、最後の願いを告げた。
「これね、一緒に燃やしてほしいの」
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-02 09:52:44
8316文字
会話率:50%
至って普通の男子高校生、和唐ナナイは平和な日常を求めている。天才にして破天荒な幼馴染、西上コズハの好奇心に振り回される毎日だからだ。
ようやく始まった高校生活こそは守り通そうとしたその矢先、またもコズハに押し切られてエイリアンを捕獲
しに行くことに。
半信半疑で乗り込んだ雑木林、そこにはUFOが落ちていた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-28 18:00:00
182468文字
会話率:54%
長谷川修平の妻、裕子が行方不明となって二日後、遺体が発見された。首だけが近くの雑木林に放置されていた。その後、同じ場所に若い二人の男の首が遺棄される。そして、再び雑木林に首が。四人目の首、それは長谷川修平だった。
長谷川の友人、楠夫妻は事
件の参考人として警察に任意で取り調べをうけたことで、地元住民から犯人扱いされる。定食屋「くすのき」も閉店せざるを得なくなった。
長谷川夫妻の死、若い男二人の死、四つの首が遺棄された雑木林。
楠夫妻の長男、真一は五年後自分の子供にもふりかかる汚名を
ぬぐうため、当時の所轄刑事相模とともに真犯人を探す。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-11-06 10:32:13
6935文字
会話率:0%
強烈な猛稽古で知る人ぞ知る太子堂高校空手愛好会へ入部した草薙稔彦。毎日どつかれ、蹴り飛ばされ、身体中あざだらけになりながら一日も休まない。そんな日々の中、「空手家がサンドバックを叩いて強くなれるのか」、と言う疑問を抱いた稔彦は、近くの雑木林
にあるコンクリート制の太い電信柱で四肢を鍛え始める。
夏の三浦海岸で神谷藍と中川桃子がサングラスの男たち七名に襲われ、たった一人で撃沈する稔彦。SNSで「三浦海岸七人斬り」として拡散され、県内外へ稔彦の噂が広まってゆく中、一年生の夏休みに、クラスメイト智也の紹介で、横須賀で道場を開いた仙道空手道場を訪れる。師範仙道明人との苛烈な組手稽古を通してめきめき上達する稔彦に、秋の全日本空手大会へ出場しないかと誘われる。
油壷を拠点に躍動する「紫煙」との抗争、二代目総長大城みゆきとの出会い。
全日本空手大会で優勝を目指す稔彦に新たな試練がのしかかる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-27 17:03:23
61315文字
会話率:37%
のどかな田舎町、御幸町(おさちちょう)
1年前に転校してきた小学6年生の陽翔は、ひょんなことから町の雑木林に入ってしまう。そこには「茂みのオッサン」という噂があり、入ってはならないと友達から言われていた場所だった。そこで陽翔は、不気味な男
に出会う……折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-09-13 21:15:09
45109文字
会話率:22%
地面に頭をぶつけた拍子に、私は前世の記憶を取り戻した。それは、他力本願をモットーに生きていた、無職独身アラサー女の記憶だ。
現状を確認してみると、今世の私が生きているのは危険なファンタジー異世界で、自分の身体は幼気な六歳児だと判明。しか
も、社会的地位が不安定な孤児だった。
前世は日本で生まれ育ち、親の脛を齧って生きていた私には、なんとも厳しい現状……。更に悪いことは重なり、今世の私の身体には『虫一匹殺せない』という縛りが設けられていた。
人を襲う魔物、凶悪な犯罪者、国家間の戦争──様々な暴力が渦巻く異世界で、か弱い私は生きていけるのか……!?
幸いにも、魔物使いの才能があったから、そこに活路を見出したけど……私って、生まれ変わっても他力本願がモットーみたい。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-25 18:10:00
933657文字
会話率:31%
家にいても、外にいても、いつでも感じる視線。好意からだったとしても、それは恐怖でしかない。カクヨムにも投稿しています。
最終更新:2024-08-12 06:20:00
1954文字
会話率:37%
17年間、一度も休むことなく働いた会社。忙しすぎる毎日にウンザリしていた黒木奏一は、秘境のような何も無い所で、のんびり過ごしたいと思った。どこに行こうか悩みつつ、従兄妹の春子に電話をかけて、オススメの宿は無いかと聞いてみたら「宿ではないけど
今は誰も住んでない祖父の家はどうか?」と紹介されて行く事になった。そこは雑木林に囲まれた周りには何もない場所で、かなりの年月が経ったと分かる古い家が建っていた。最初は、レトロな感じが面白くて楽しかったのだが、次第に家の中で奇妙な事が起こり始めた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-15 22:23:59
16899文字
会話率:52%
ある夏の日、小学生五年生の主人公は、近くの公園の雑木林を探索していた。そんな中主人公は、羽化不全のカブトムシ、チビ角と出会うのだった。
最終更新:2024-08-10 11:00:00
2070文字
会話率:0%
昔、住んでいた街に怖い噂が無かった龍雅と竜太と俺こと辰真は、怖い噂を作るため、雑木林に入って行った。その時、高校生くらいの女の子と出会い、頼みごとをされる。
最終更新:2024-08-09 05:22:09
4784文字
会話率:43%
――フクロギを視たら、貴方も呪われる。
私の地元には、とある怪談がある。
それはフクロギという、梟の止まる木。
それを見た者は、数珠の様に次々と呪われてしまうらしい。
私は高校の友人に誘われ、フクロギのある雑木林へと向かったが……。
この物語は、実体験を元にしておりますが、フィクションです。また、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-04 22:20:00
5344文字
会話率:0%
家族から暴力を受けている名主の娘と、人間嫌いと噂されている大妖怪。不運なことに二人は大豪雨の日の雑木林で出会ってしまった。行くあてもない名主の娘は大妖怪の許しで、その屋敷に居候することに。そこで知ったのは、人間嫌いの大妖怪の本当の顔で___
___。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-16 21:25:54
252文字
会話率:0%
文哉は帰り道で白い卵を見つける。その夜、文哉は誰かに呼び出される。
最終更新:2023-09-18 20:00:00
3258文字
会話率:53%
佐倉さんはとてもおモテになる。
妙な音を聞いたり、何でもない雑木林で迷子になったり。
なんといえばいいのか、ちょっと好かれ過ぎじゃない?
俺ただの田舎の生臭坊主なんだけど。
最終更新:2023-09-06 21:08:15
70174文字
会話率:28%
人というのは断片的な情報だけで物事を判断しがちだ。
例えば、建物。 外壁はひび割れチャイムは鳴らず、苔やつたまでが生えている。
だが、建物の中は?汚いとは限らない。
例えば、政治家。表ではそれらしい事を発言する。(その発言も危ういもの
だ。)
しかし、裏では汚職に手を染め、有事を長びかせる事で自分達の私腹を肥やしている。
この世界は断片的な情報で溢れかえっている。またそれを剥がそうとする者は常に排除されてきた。
その状況に遭遇するのはいつも、玄関や扉や窓なのだ。
とある人はこう言った。
「偉業を成し遂げるために必要なのは技術や才能ではない。きっかけだ。きっかけはなんだって良い。」 と。
このような言葉は沢山の人々の心の支えとなってきた。
丁度ギリシャローマのコロッセオの、トラバーチンのように。
日本のとある県のとある町のはずれ、雑木林が聳え立つ場所の近くに、一軒の粗雑な車庫があった。
その中では、車庫の外見からは到底想像できないようなハイテクな技術が、駆使され、ある一つの全く新しい概念
全く新しいテクノロジーが生み出されんとしていた。
そのテクノロジーは現在の人類が擁するテクノロジーをはるかに凌駕するようなものだった。
まるでSFのようなものだった。
偉大な功績には多大な犠牲がつきものだろう。
白熱電球を発明したトーマス・エジソンは、2万回も挫折したという。もっともエジソンにとっては挫折までもが発明の糧だろうが。
印刷機を発明したヨハネス・グーテンベルクは、発明の為に莫大な借金をしたという。
そしてそのSFのような、テクノロジーを完成させようと日々苦心している青年も、また多大な犠牲を払った。
いや、正しくは払わされた。
才能 名誉、誰もが羨むようなものを手に入れた青年。
ありきたりな、大切なものは失ってから気づくという言葉を何度心で繰り返した事だろうか、
当たり前のことを大切にしてほしい。
そして、家族を大切にしてほしい。
そして、騙されるな。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-09-02 16:05:55
4768文字
会話率:12%
ある日、お母さんがいつものように家に知らない男を連れてきた。夜中だったけど僕は家にいたくなくて、11月で寒い時期だけど、近所の公園で野宿することにした。
そして翌朝、家に帰ると。
「─あら、帰ってきたの。昨日はけっこう寒かったから、野垂
れ死んでるかもって期待してたけど…」
そう、母に言われた。
その上学校に行くと、僕はどうやらいじめのターゲットにされたようで。椅子だけを残して、僕の机が無くなっていた。
もう…いいや。
───その日、僕は自殺することを決意した。
※こちらのお話は、自死を推奨したりするものではございません。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-04-16 16:47:49
5788文字
会話率:48%
ふつうの女子高校生であるユウと、ふつうではない外狩舞が、
学校で、街で、雑木林で巻き起こる恐ろしい怪異と立ち向かうかもしれないお話。
最終更新:2023-04-07 20:46:23
9277文字
会話率:32%
夏のある日の事。
学校へと行く途中にある雑木林に突如現れた廃れた神社。
そこで繰り広げられる、数日間だけの少し不思議で暖かな物語。
※この物語は、短編集に掲載していたものをちゃんとした短編にしたものです。
※最終話まで予約投稿済み
です。7月3日に完結です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-23 08:00:00
46919文字
会話率:14%