ひどい脱毛症にかかっていたときのことです。洗髪の度に、浴室の目皿にお団子さんみたいに髪の毛が貯まり、眉毛も髭も抜けて、肌はつるつる。ひげ剃りが朝の習慣から抜けていた時期がありました。痛くはないし、身体の機能が衰えるわけでもない。医者からは
「必ず回復します。早ければ2,3ヶ月で」と言われても、知り合いに会うたびに、丸坊主となったいきさつを説明するのに辟易した頃、通い慣れた温泉宿の主人が、肩をたたくように語ってくれたのが、離れて暮らす境遇の異なる双子がお互いの身体に仕込まれた時計がベルを鳴らすように同時に脱毛症にかかった話でした。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-05-17 20:21:30
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