映像はノイズに蝕まれていた。モノクロのニュースフィルムは、砂嵐のような走査線の中でかろうじて輪郭を保っている。アナウンサーの声は、遠く、そして不気味に澄んで聞こえた。
「…本日、グローバル・ミラー・イニシアチブ(GMI)は、人類の新たな地
平を拓く『プロジェクト・ダイクロス』の発足を宣言します。その基盤となるのは、『鏡の性質』と呼ばれる革新的理論…」
画面には威厳に満ちた国際会議場が映し出された。各国の代表者たちが整然と着席しているが、その表情はどこか無機質で、人形のようだ。アナウンサーの声は続く。
「…資源争奪、環境崩壊、紛争の根絶を目指し、『世界A:アルファ』と『世界B:ベータ』という二つの鏡像シミュレーションを連動させます。これは結果と過程の完璧な調和…」
その言葉を最後に、映像は激しいノイズに飲み込まれ、白黒の粒子が渦巻く砂嵐へと変貌した。画面は真っ暗になり、わずかに残る電子音だけが、何かが始まったことを告げていた。それは祝福のファンファーレではなく、歪んだ予兆の響きのように。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-01 03:51:47
6260文字
会話率:25%
鏡を御神体とする御鏡教団。
男子高校生の弟が、その御鏡教団で祈祷を受けた後で、
利き腕が左右逆になって性格も逆になってしまったという。
しかしその男子高校生は、鏡を御神体とするなら、
そんなことはありえないはずだという。
鏡は左右を入れ替
えない。
そんな鏡の性質を元に、弟の身に何が起こったのかを明らかにしていく。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-11-29 05:55:35
8896文字
会話率:14%
これは、終焉が訪れる世界を青年が駆け抜ける話
(目次の謎解き用のヒントに不足があったため、タグに追加修正を施しています。
ご迷惑かけてすみません)
最終更新:2014-06-06 12:00:00
6203文字
会話率:18%