身を焦がすのは一つの現実。
暗闇の世界で、少年は一人目を覚ます。
「なんで、まだ、生きている?」
散らしたはずの命を抱え、少年はただ事実を見つめて決意を表す――このままじゃ終われないという決意を。
魂が形を保つ死後の世界で。
今まで生
きてきた世界で。
一人の男は何を成すのか。
一人の男は何を見るのか。
往け、信念を越えて。
これはアフターファンタジー、終わった後の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-16 23:58:18
418997文字
会話率:35%
ポン ポン ポン……
ああそうか、俺はもう独りなわけか。
静かな部屋に響く木魚の音は、恋人の|橘《たちばな》|緋奈《ひな》がもういないという事実を、ただ海斗の心に強く、残酷に刻みつけていた。啜り泣く声が微かに響く中、海斗は涙に袖を濡らす
ことはなかった。なぜなら。
——俺もすぐそっちに行くからさ…だから安心しろよ、緋奈。
心の中でそう唱えて少し口角を上げる。葬式中に笑っているなんて周りに気づかれたら、きっと気味悪がられる。でも。
そんなこともう、どうだっていい。
緋奈のいない世界に、自分に、何の価値があるというのか。この先生き続けたとして、何の希望があるのか。暗闇が待つ世界に身を委ねるくらいなら、いっそ。そう思ってしまうのも無理はなかった。
1週間前に緋奈が突然の心筋梗塞で亡くなったその時から、緋奈の魂を弔ったあとに自分も着いていく決心はついていた。どうして突然。どうして自分ではなく緋奈が。無力な自分の不甲斐なさに身を焦がすが、どれだけ願っても結末は変わらない。
「これにて葬式を終えさせていただきます。」
さっきまで念仏を唱えていたお坊さんの声が耳に入る。どうやら、くだらないことを考えている間に葬式が終わったらしい。司会者の案内があり、続々と参列者が退出していく。結局悔やんでばかりでろくに弔えてもいなかった自分に気づき、最後までどうしようもないなと|嗤《わら》いながら海斗も葬式部屋を後にした。
最期にちょうど一年前のこの日に告白した公園に行こう、そう思った。今日3月25日は海斗と緋奈が結ばれてから丁度1年目。
「好きだ、緋奈。だから俺と………」
「あーーーもういいよっ!!」
少し堅いベンチに腰をかけ、咲きかけの桜に見舞われながら言った1年前。最後までセリフが出ずにカッコつけきれず、フォローすらされてしまった、ちょっぴり苦くて甘い記憶を同じベンチで思い返す。隣にはもう、誰もいないが。
独り家に帰り|そ《・》|の《・》|時《・》のための身支度をしていると去年のカレンダーを見つけた。ぱらぱらとめくっていると、3月25日の欄に何やら書いた覚えのない文字が書かれてあることに気づく。
私 を 救 っ て
「あーーもういいよっ!!」
「……は?」
「あれ海斗、どうしたの??もしかして〜嬉しすぎて固まっちゃった〜?」折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-02 18:04:58
914文字
会話率:36%
19歳の夏、真面目で少し内気な涼香は正反対の親友華といったプールで真っ黒な髪と瞳をもつ翼と出会う。まっすぐな性格を持つ翼に惹かれた涼香は何度か翼と会うも中々恋人関係にはなれないまま都合良い関係で過ごす。
もどかしさを感じるものも、涼香は身を
焦がす恋をする。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-02 00:47:46
1682文字
会話率:55%
あらすじ
同級生の綾瀬翔(あやせかける)に立川結(たちかわゆい)が
恋をし、苦悩する。男女の高校生の恋愛短編物語。
最終更新:2024-05-12 16:46:21
1119文字
会話率:25%
それっぽい見た目にした(?)あらすじ
「貴方が購入するのはどちらですか?」
ここは場末の店「くろたえの庵」。路地裏でひっそりと営まれるのは、街とは隔絶した穏やかな時間。
裡に秘めたる想いは、ときに沈み、ときに凝り、ときに涙するもの。
身を
焦がす炎も、心砕ける氷も、或いは震える拳も、気づかぬままにひっそりと佇んでいるのやもしれない。
一人ができることなどたかが知れている。故にただ一助となれば。
手を伸ばした先に求める結末はあるでしょうか。足を進めた先に望みは待っているでしょうか。
これはただ、彼方が救われるためだけに紡がれる物語。
カジュアルなあらすじ
隠れ家的なお店に駆け込んで、泣いたり愚痴ったり、時には実力行使に出たりしながら、お悩み解決に奔走するお話。
「くろたえの庵」には今日もお客は来やしない。店主は来なくていいとすら思っていた。半ば道楽でやっているこの店は、極一部のリピーターをを除くとわざわざ訪ねてくるような人もいない。外に耳をすましても少し離れ大通りの音が聞こえてくるだけ。わざわざこんなところを尋ねるのは面倒事か変人かのどちらかでしかない。今日も軒先を掃除して、馴染みの顔に挨拶をして終える。そのつもりだったのに。
「こいつどうにかしてくれよ」
「いつものやつお願い」
「ちょっと最近気分変えたくてー」
(うちじゃなくてもよかろうに)
どうやら今日も、厄介事が飛び込んできたようだ。
「いらっしゃいませ。何をお求めで?」
R15は保険の意味合いを含みます。極力表現をぼかすようにはしますが、題材として倫理観・道徳観に問いかけるような内容を予定しております。もし読まれた方でちょっとどうなの、といったご意見等あれば御一報ください。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-19 22:00:00
37275文字
会話率:44%
伯爵令嬢であるメガラは望まない縁談にうんざりしていた。
その代わり熱心に読んでいたのは恋愛小説で、メガラはいつか自分もこんな身を焦がすような恋をしてみたいと思っていた。
ある日思いつきで庶民に化けて家出をしたメガラは、素晴らしい青年ニアと出
会う。
まるで小説の中から出てきたようなニアに恋に落ちたメガラは、ニアに自分の全てを捧げたいと願い出る。
そんなメガラに対して、ニアが取った行動は……?
この作品はカクヨムにも投稿しています。
https://kakuyomu.jp/works/16817330665405158306折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-11-02 18:15:29
17658文字
会話率:58%
「いつか、私たちの世界でも愛は見える?」
幼い声に耳を澄ませた時、いつかの旅人の姿が思い浮かんだ
箱の中を指差して未来を謳った彼は、もしかしたらもう容れ物など捨ててしまったのかもしれない
人肌の温もりを永遠に捨てるその覚悟を、箱の中に
託して
輪廻の不可侵を超えて、新たに選ばれた旅人はいつかの痛みにその身を焦がす
“愛しい”を知ってしまった旅人は
今日もまた、震えながら名前を呼ばれるのを待っている折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-31 23:04:18
35886文字
会話率:59%
恋愛なんてくだらない。冷え切った仮面夫婦の過程で、自身もかつて罰ゲームの告白で痛い目にあった祐真。
恋愛なんてバカみたい。好きだ好きだと散々熱を上げた口で、次の月には悪し様に罵っている周囲を散々見てきて辟易している親友の妹、涼香。
恋愛
には興味がない。だけどお互い異性の身体には興味がある。
これはそんな2人が純愛に身を焦がす隣で、不純な関係を結びつつ、それぞれの在り方を考えていく青春不純ラブコメ。。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-23 19:02:28
95146文字
会話率:47%
アースキン男爵令嬢であるエーリカは、物語のような恋に憧れていた。身を焦がすような恋。
けれど、同時に、自分の立場と運命を理解していた。
成り上がりの貴族の家に生まれた自分は、いずれ政略結婚をすることになる。家の繁栄に繋がる相手から求婚された
ら、自分に拒否権はない。
ただ、それでも、できるだけ自分の意思で結婚相手を選びたい。
そんな折、王家のパーティに家族で招かれたエーリカは、理想とも言える男性と出会った。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-10-19 21:16:50
51599文字
会話率:13%
◆お兄ちゃんの代わりに抑止力として南国の軍事基地に拉致られた神族の少年がなんやかんやあってハーレムする話です。
・幼馴染みの少女と共に南の島に転校した軍神の少年は、失踪した兄の代わりに軍人として、国の抑止力としての訓練を始める。
・そし
て島の少女と出会い、いけない関係に身を焦がす。
・人外差別と軍の束縛、何者かに陥れられる幼馴染の少女と、すれ違う少年。
生体兵器開発を目論む謎の組織に翻弄される最前線の基地の島、ニライカナイ。
・軍神見習いの少年は、怪獣を倒す力を手に入れられるのか……
◆各章末の幕間に章毎のあらすじやデータを掲載。ざっくりストーリーを追っかけられます!
※カクヨム、ノベルピアに改稿版掲載 ※2013年作の本作を大幅改稿して新規掲載しております折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-20 20:00:00
167825文字
会話率:30%
突然、世界に出現した108のダンジョン。
日本国に住む檜山塁は、ダンジョンから溢れだした魔獣のスタンピードで両親を失ってしまう。
太平洋上の人工大陸ネオ・アトランティカへと救い出され、同級生や恋人との新たな日常を営む一方、1つの想い
に身を焦がす。
『―― ダンジョンをこの世から駆逐してやる!』と。
大学へと進学した檜山塁は、アルバイト先のセトニクス・エレクトロニクスが請け負ったダンジョン攻略シュミレーター『アガルタ・オンライン』の開発に関与していく。
平穏な日常が続くかと思えたネオ・アトランティカの生活は、ダンジョンを巡る大国間の思惑に揺れ動く。
コンセプト:『剣と魔法』×『リアルロボット』×『人間群像劇(恋愛寄り)』
『※ この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。』
『カクヨム』『小説家になろう』でのみ投稿しています。
他サイトへの転載や、翻訳および海外サイトでの転載を禁止します。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-07-20 00:00:00
243240文字
会話率:54%
アルフレッド王太子殿下の正妃として3年。
私達は政略結婚という垣根を越え、仲睦まじく暮らしてきたつもりだった。
しかし彼は王太子であるがため、側妃が迎え入れられることになった。
愛しているのは私だけ。
そう言ってくださる殿下の愛を疑
ったことはない。
けれど、私の心は……。
6/27 21時前編、22時中編、23時後編で完結です。
★作者の息抜き作品です。
★ゆる・ふわ設定ですので気楽にお読みください。
★誤字脱字がひどい作者です。 申し訳ありません。
★アルファポリス様にも公開しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-06-27 23:00:00
7589文字
会話率:26%
時に欲望は身を焦がす。全てが満たされる訳もなくだが、何一つ満たされない訳でもない。満たされるかも分からない欲望に、苦しみ耐え続けるのは、きっかけを待っているから。それが花開く瞬間を逃さないために苦しむのだ。
最終更新:2023-06-18 20:34:10
1817文字
会話率:20%
ステフィニア・クランティス公爵令嬢は婚約者のカイル王太子殿下の事を愛している。
しかし、彼は平民のファニー・アンディシアと親しくしていて。
嫉妬に身を焦がすステフィニア。彼女を殺そうと考えるが…手を下す前にファニーは馬車にひかれて死んでしま
った。そのことがステフィニアの愛が冷める原因になるのだが。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-04 15:44:51
5653文字
会話率:26%
身を焦がすような恋がしたいと今の婚約者がいるのにそんな事を言い出す王子は、婚約者に溺愛している側近が信じられなかった。
かつて婚約者候補に挙がったその女性はとても醜くくて化け物みたいだったので。そんな側近が卒業記念式典で連れてきたのは――
。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-05-03 13:00:00
3650文字
会話率:29%
王太子の番喚びの儀式で現れたのは、ブロード自身の番だった。聖女を異世界から召喚する国の悪習を断つため、ブロードは彼女を元の世界へ還す事を約束する。身を焦がすような恋慕を隠して。
同時に公開した同名タイトルの別ルート、ブロードを主人公とし
たお話です。残酷な表現があるのでR15つけてます。2つで1つの物語ですが、どちらから読んでも問題ありません。ただしこちらの話的に鬱展開がありますので、苦手な方は先にルートHをお読み下さい。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-04-08 10:00:00
17826文字
会話率:37%
長年の婚約者である第二王子から婚約破棄を言い渡されたローラ。彼女は笑顔で承諾し、婚約者と浮気相手である親友の結婚を祝う。
ところが婚約者と親友は恨み言を言わない彼女を逆に責める。困った彼女は悪気なく彼らの悪事を明らかにし、バルコニーから飛
び降りた。
実はローラは、世界に魔王を生み出さないために婚約破棄を何度も繰り返していた。婚約者への未練など最初からない。むしろ彼女は、教会の司祭に叶わぬ恋をしていた。
婚約者を許すように彼女を諭す天使は、憧れの司祭と同じ顔をしていて……。
片思いをこじらせた愛が重いヒロインと、ヒロインのためなら天使から魔王へのジョブチェンジも喜んでしまうヒーローの恋物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-01-27 20:01:07
8011文字
会話率:64%
此れはあの世の事ならず
苦患(くげん)を受けし人々の
怨みの果てのものがたり
夕焼け雲の赤色は
誰かの流した血の涙
泣いて憎んで身を焦がす
熱き焔の怨涙
早まるのだけはお止しなさい
零れた涙を掬う手で
小さな花をば一輪持って来たりなば
祟りぞここに成されたり
ろくろっ首に絡新婦 鉄鼠 おとろし 一つ目小僧
妖怪使って怨敵を 祟り殺してみせましょう
私は祟り屋 陰陽師
葛葉 紫苑と申します
但しこの事 SNSに UP禁止でお願いします。
小夜鳴市にある小さなカフェ『タタリアン』
この店には晴らせぬ怨みを抱えた人が、虹色の蝶に導かれてやってくる。
出迎えるのは――
触れたものに不幸を齎す『辻神』を使役する、美しき異端の陰陽師、葛葉紫苑
彼女に付き従い、立ち塞がる全てを斬り伏せる護衛-方相氏、不来方相志
幸福を齎す存在『歳神』を使役する、新人陰陽師、飯綱若葉
そして紫苑の式神である、金魚のこんぺい、若葉の式神、三つ目の小狐サン。そして付喪神のクロ。
彼等の正体は、依頼人の怨みを“妖怪”という姿を持った『祟り』へと変えて標的を葬るという、最強にして最悪の名を冠する闇の陰陽師一族、『葛葉』の一門とその眷属である。
彼等の『祟り』は、天を地へ落とす程――と言われ、その長き歴史に於いて、只の一度も仕損じ無しという。
彼らが使う闇の御業――依頼の目印は紫色の花一輪。
今日もまた、夕闇の境に祟りが踊る
(注)
この作品は、作者の完結済小説
『夕闇カフェの陰陽師 ~紅茶とケーキに祟りを添えて~』
https://ncode.syosetu.com/n8232ff/
の続編になります。
此方の雰囲気がお気に召されるようでしたら前作に目を通してみるのも宜しいかと存じます。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-26 18:00:00
253694文字
会話率:44%
界願大戦。のちにそう称される史上最大の戦争に、たった齢17歳にして身を投じる少年、アランは、突如として所属していた隊がたった一人の少女によって壊滅させられ、帰る場所を失ってしまう。しかし、仲間の仇であり、殺したいほど憎きその少女は、身を焦
がすほど追い求めたアランの妹『リリア』にあまりに似すぎていた――。
意図せず始まった妹の空似と妹を探す旅に待ち受けるのは、終焉か、はたまた再会か。その答えを知るものはたった一人。
だから、
全ては――――のために。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-09-30 20:47:24
79372文字
会話率:61%
※2023、4/28発売の短編集「あやかしの花嫁」(スターツ出版)収録
※長編化したものが、2024、2/28発売「偽りの少女はあやかしの生贄花嫁」
長編版は舞台とキャラの名前が同じくらいで、性格も内容も9割違います。別の物語としてお楽しみ
いただければ幸いです。
村には、過去に結んだあやかしとの掟があった。
「新たに烏王が立ったら、村から嫁を差し出さなければならない」
この度、新たな烏王が立ち、従姉の代わりに嫁ぐ事になった菊。
菊は、村で忌み子と呼ばれ、存在すら隠すように育てられてきた。
烏王は、醜く、人を食べるために、人間の嫁を欲しがっている――と村人達は言う。
しかし、会ってみた烏王は噂とは違う様子で。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-09-19 09:00:00
31195文字
会話率:36%