「お前は、私のものになれ」
「私はやがて、この国の王となる。――雷王の、ではない。お前は私の妃となるんだ」
千夜にそう告げたのは、仇であり今の養父、そして未来の夫になるはずだった王――の息子だった。
持って生まれた力のせいで故郷を滅
ぼされ、仇である王にさらわれ、育てられた千夜。
王のことを憎みながらも、手に入れた身分を利用し、己の望む未来を掴もうと戦に向かったはずだった。
しかし、そこで彼女の力を誰よりも欲しがったのは、嘉国の第一王子であり“国のために壮絶な死をむかえる”と宿命づけられた忌子、高夏絶。
国王ではなく、血の繋がりのない兄に言い寄られてしまい、千夜は自らの気持ちと過去、そして己の立場の狭間で葛藤する。
平民でありながら、王の養子となり、ゆくゆくは妃となる娘、千夜。
王子でありながら、王の奴隷であり、忌子と蔑まれる青年、夏絶。
最も遠くて最も近いふたりが、やがて手を取り、国の未来を切り拓く物語。
*
【第一章】2017年4月26日完結。幕間の物語は二、三週間に一回のペースで投下予定。第二章は纏まって書き上がってからのスタートとなります(七月下旬予定)。
※第1章/1話のみ表紙イラストが入ります。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-05-14 21:05:25
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会話率:30%