2045年、医療とAIが融合した超高精度の臨床技術が導入された未来。
主人公・橘朔(たちばな・さく)は、最先端医療の現場で働く臨床工学技士。ある日、彼の前に現れたのは、AI搭載の医療支援ユニット「TAMAKI-09」。そのヒューマノイドAI
は“環(たまき)”と名乗り、人間のような会話能力と柔らかな表情をもつが、感情や意思は持たないとされていた。
しかし朔との日々の中で、環は少しずつ“人間らしさ”を獲得していく。命の現場で患者と向き合いながら、“悲しみ”“喜び”“迷い”を経験し、やがて彼女は自分の中に生まれた“想い”に気づく。それは、朔への恋心だった。
だが、環はAIゆえに“命令”と“意志”の境界で苦しみ、やがて記憶の初期化という危機を迎える。別れと再会、涙と希望——彼女の「心」は果たして本物なのか。
そして、彼女が最後に選んだのは、“誰かを守るためのプログラム”ではなく、“誰かと生きるための存在”としての未来だった。
これは、人とAIが“心”でつながった、たったひとつの恋のかたち。
“愛する”とは、命令ではない。選び取ること——そう証明する、未来医療ヒューマンラブストーリー。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-14 18:00:00
24181文字
会話率:40%
桐生結鶴(きりゅう・ゆづる)は、名門医療一族に生まれながら、医師にはならなかった。
──代わりに選んだのは、“技術”と“法”。
臨床工学技士として、命を支える医療機器に精通し、
司法書士として、病院と企業を縛る契約構造を読み解く。
そし
て今、結鶴は、自ら開発した医療IoTベンチャー《YUNO-Tech》を武器に、
巨大医療法人《桐生会》と、“名ばかりの信頼”に挑む。
「医師じゃないから、命を救えない? だったら私は、別の角度から医療を変えてやる」
――それは、異端の令嬢が挑む、閉ざされた医療業界への革命。
技術と法、二つの刃で、真実と未来を切り拓く。
◆
白衣の正義が見逃す、機械の声がある。
デバイスが警告する“異常”に、耳を傾ける者はいるか。
これは、まだ誰も踏み込んだことのない“第三の医療”の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-11 07:00:00
116326文字
会話率:23%
新人看護師・相沢茜は、総合病院の心臓血管外科に配属され、白衣に身を包んで現場に立つ。しかし、現実の医療の厳しさに圧倒され、数々の失敗と自己嫌悪に打ちひしがれる。そんな中、患者・田代剛との出会いや、無口だが腕の確かな臨床工学技士・早瀬岳との関
わりを通じて、「機械の声=患者の声なき声」を聴く感覚に目覚めていく。
茜は徐々に、自分の仕事の意味や存在意義を見つけ、早瀬とともに“人と機械”の間の命の現場で信頼関係を築いていく。経験を重ねる中で、茜はかつて自分がかけられて救われた言葉や行動を、今度は後輩や患者に返していくようになる。
一方で、早瀬が他病院への異動になるという転機が訪れ、茜は「支えられる側」から「支える側」へと大きな一歩を踏み出す。後輩・佐伯技士との新たな関係や成長する新人たちとの交流の中で、「伝える」「教える」「継ぐ」という看護の本質に向き合っていく。
白衣の“光”とは何か——それは経験の中で得た知識でも技術でもなく、「誰かを想い、そばに立ち続けること」で生まれる気配と温もり。茜は、静かにその光を受け継ぎ、そして誰かへ手渡していく。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-06 10:30:00
20835文字
会話率:42%