“宝石が王を決める” 神秘の星リラ。
リシューは、戒厳令が敷かれたその星へ向かおうとしていた――
この物語はリラ星を舞台に繰り広げられる冒険ものである。
リシューは、依頼された仕事をこなしながら宇宙を旅している闇組織バイスの一員。
通り名は、シルバーフォックスと呼ばれている。
一緒に宇宙船に乗っている相棒は、能(脳)天気少年のパット一人。
よく雨が降るある星でパットがいつものようにリシューに話しかける。
「ねぇ、リシュー、緑色の雨ってすっごくきれいだね。きらきらしてて、小さな森がたっくさんふってくるみたい……」
無邪気に、ときにはとんでもない言葉でリシューを翻弄する。が、その何気ない会話がリシューのささくれだった心を知らぬ間に癒していたのである。
数年前、リシューは父とともにリラ星のダール大臣の依頼で銃を運びこんだ。その後、内乱へと発展し、王と王妃は囚われ、王子二人は異星へと脱出した。
リシューは今も内乱が続き、何一つ情報が伝わってこないリラの現状と、その地に住む友――パルの安否を憂えていたので、ひそかに入り込む決意をする。
その矢先、リラより依頼が舞い込んだ。連絡してきたのは、かつての友パル。
今はダール王となった彼のもとで大臣となっていた。敵か、味方か。不安な要素にリシューは迷っていたが、行くことを決める。
パットは、ひょんなことからリラ行きを願っていた少年二人と知り合い、リシューに黙って船に乗せた。さまざまな想いを、それぞれの胸に秘めながら、宇宙船は辺境の星リラへと旅立つ。
そこでリシューたちを待ち受けていたのは、驚くべき事実であった――
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-13 00:07:11
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会話率:42%