独り暮らしの85歳の祖母が倒れた。雅号を持つ画家で、我が強く、誰の言うことも聞かない気の強い祖母は、病院から施設へと説得して移しても、「こんなところに閉じ込めるなら死ぬ」と昼夜問わず娘と息子に電話をかけ続ける。
孫の達也は、父対祖母の終わ
りなき戦いを見つめながら、幼いころからの祖母に対する苦い思い出を思い出す。愛された記憶よりも、出来のいい姉と比較され差別された日々。だが祖母の生は、「死」では終わらなかった……折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-16 00:30:00
11319文字
会話率:30%
記憶喪失になってある老人施設にやって来た老婆。
誰とも心を交わすことなく過ごす彼女だが、その施設の職員である初老の男性にだけは不思議と心を開いていた。
ふたりは治療の一環として一緒に小説を考え、書き始める。
記憶を無くした老婆。
無条件
に優しい初老の男性。
彼らが想う物語は再び、始まろうとしていた。
※全四話の短編です。
※コメディ要素はありません。
※カクヨム、ノベルアップ+でも公開しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-08-16 15:04:05
10955文字
会話率:49%
高齢の実母は歩いて10分ほどの老人施設に暮らし、若い頃に離婚した夫との間の24歳の息子とは2年以上音信不通。猫とマンションで暮らす、人生を折り返した年代女性の心の葛藤を描きます。
最終更新:2018-01-31 05:35:37
683文字
会話率:0%
母が亡くなり小さな煙草屋を引き継いだ「私」は、ガラス越しに変わりゆく街の様子を眺めている。
ある日、女性客が訪れてガラスケースの中にあった箱を買っていた。もうひと箱あり、それは後で買いに来るという。好奇心からその箱を開けてみたくなった。開け
ると一匹のヤモリが出てきた。老人施設にいる父の顔に似ていた。さっき女性が持っていった箱には、母が入っていたのではないだろうか。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-10-27 16:31:06
4938文字
会話率:3%
心筋梗塞で倒れたことを機に、老人施設に「お試し入所」を始めた「私」。
自分のこと以外にも心配があった。
労災死した息子、ひとり親となった嫁、心を病んで引きこもった孫。
更に、施設で見かけたのは、貸し剥がしに遭いホームレスになった幼馴染の姿だ
った。
若い世代を支えることもできない自分。
弱者を支える力を失った社会。
苛立ちを覚えつつも、そこに滅びてしまった野生のトキの姿を見たのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-05-28 05:00:00
9748文字
会話率:14%