私は俗に言う、『時を駆ける少女』である。
それゆえに、これまで数えきれないほどの世界を滅ぼしてきた、罪人でもあった。
この現実世界にはけしてSF小説みたいに過去や未来の世界と自由に行き来できるような、御都合主義的なタイムトラベルなぞ存
在しない。
なぜなら世界というものは、あくまでも一つしかあり得ないのだから。
よって何かの拍子で過去に時間移動すれば過去こそが唯一の現実かつ現代世界となり、未来に赴けば未来こそが唯一の現実かつ現代世界となるだけなのであり、そしてその結果かつての現実かつ現代だった世界はあたかも夢や幻であったかのように、ただ消えゆくしかないのである。
つまりタイムトラベラーはタイムトラベルをするごとに、それまで自分の存在していた世界を滅ぼし続けているのだ。
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31380文字
会話率:55%