『世に天下五剣あり。
即ち「鬼丸国綱」「大典太光世」「三日月宗近」「数珠丸恒次」「童子切安綱」の五振りなり。
東国に或る鍛冶屋住まう。世に其の者を知る者無し。無名(無銘)の鍛冶屋なり。この鍛冶屋、天下五剣すら知らず。だが鍛冶屋の性として
無類の剣を鍛えんと望む者なり。
若武者あり。彼の者、鬼切を生業とす。して無類なる剣を渇する(欲する)者なり。八百の鬼を斬りながらも尚、折れず曲がらぬ、雷光よりも鋭い剣を――』
これは、心ならずも刀鍛冶となった主人公と、鬼討伐を稼業とする若者の物語である。やがて二人は心通わせ手を取り合い、後の世まで語り草となる伝説を作り出すこととなる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-08-27 11:08:27
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会話率:34%