はるか昔、〝竜(ドラゴン)〟の脅威によって滅亡の危機に瀕していた人類は、一人の騎士によって救われた。その騎士は神から授かった光り輝く神器を身に纏い、無敵の力をもって悪しき竜たちを暗き地の底へと封じ込めたと云(い)う。
これは〝竜輝士伝
説(りゅうきしでんせつ)〟と呼ばれる騎士英雄譚──アークスに古くから伝わる御伽話である。……だが、悠久の時を経て、この御伽話は最悪の部分だけ現実のものとなる。
AC(アークス歴)1999年7月7日、突如としてアークスに姿を現した竜は、御伽話に伝えられているように人々を襲いはじめたのだった。
あまりにも強大な力を持つ怪物たちを相手に、人類は常に劣勢を強いられた。初めのうちは辛うじて竜の侵攻を退けていたが、やがてそれも限界に達し、次第に窮地へと追い込まれてゆく……。
しかし、AC2009年3月26日、のちに大英雄と称されるディスティン・ラリービルトンが竜の討伐を主な目的とする組織〝竜騎士機関〟を設立したことで状況は一気に好転し、人類は未曾有の危機を脱することができたのだった。
そして時は過ぎ、AC2119年3月26日現在。人類対竜、互いの存亡を賭けた戦いは今尚も続いていた。だが、この日を境に運命の歯車は大きく加速し始めることになる。若き竜騎士ユーイ・アルファナが任地先で一人の少年と邂逅を果たすことによって……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-03-28 00:02:05
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