吹き荒れろROCK'N'ROLL STORM。
最終更新:2024-05-28 07:00:00
420文字
会話率:0%
西暦二〇二五年。東京オリンピックが過ぎ、日本では大阪万博が行われたその年に、それは突如太平洋々上に現れた。鋼の躰を持ち、腕には砲門を構え、戦艦並みの威力で陸地を滅ぼし、人々に災いをもたらした謎の生命体。世界中から集めた戦艦艦隊で決死覚悟で
追い払ったものの、その損失は大きかった。その後当時、最新鋭の技術を生み出し、国聯軍の中枢を担っていた希臘《ギリシア》軍の少佐ハリラオスは著書『死神遭遇記』でこう語っている。
―奴等突然現れた。それは二〇二五年の夏の事だ。奴らは世界平和を取り戻したこの地球に再び災いをもたらした。目の前に現れた、小山の様な鋼の巨人。鋼の躰を持ち、神通自在に駆け巡り、只管《ひたすら》艦砲射撃や機銃掃射を浴びせても、奴等はビクともしない。僕は反撃に倒れ行く戦友たちを只指を銜えて見守る事しか出来なかった。奴等は現代の地球に現れた「死神《タナトス》」なのである。
彼らは之を『タナトス』と名付けた。希臘神話で死神を意味するタナトス。その唾棄すべし悪魔の所業はまさしく死神であった。
国聯は当時の希臘で最新鋭と謳われた兵器製造計画『メティス計画』を採用し、世界初の二足歩行巨大兵器を製造した。つまりは人型の戦闘兵器である。かつて人々を沸かせたロボット漫画のような兵器が初めてこの地球上に完成したのだ。
この作品はカクヨム様及びアルファポリス様などでも掲載しております。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-12-16 21:43:18
4623文字
会話率:33%
「ねぇ、知ってたかな? ボクは君が――ほんとに大好きだったよ」
出会いは最悪――
ぱたぱたと操縦服(うっすいぴちぴちハイレグ)のすそを開けてあおぎながらふと下をみると――彼と目があった。
「ぎゃああああっ! なんで男の子が
いるのっ」
――彼は、不思議なまでに技術者として有能だった。
新型関節の提案、試験騎の制作、設計者が舌を巻くほどの具体的アイデアの数々。
「あーそんなことをいうなら、ご自慢の新型間接焼きつけちゃうよ。ボクの運動についてこれるわけないもんねー!」
「やれるもんならやってみろ! 三分以内なら絶対に持つからなっ!」
「云ったなー!! 二分以内に焼きつけちゃるっ!!」
――悲喜こもごもありながら進む新型騎の開発。
同じ頃、連邦帝都
「"オーバルネスト"殴り込み作戦、ですか」
「そうだ。我らが連邦最高議会は、新型モータメイデン新造24騎の完成をもって、魔獣の巣オーバルネストへと攻撃を仕掛ける」
徹底的に表情を消した参謀本部長。
「身に余る光栄です」
こちらもまた一切の表情と感情を消し去った金髪の侍女長。
侵攻する殴り込み艦隊。
昼夜を問わず襲来する魔獣たちの前に護衛艦は次々と脱落し、ついに旗艦が擱座。
絶望的な防衛戦を繰り広げる殴り込み艦隊
十重二十重と囲まれ、ひたすら攻め寄せる魔獣たち。
残存艦艇の砲門は絶え間なく砲声を響かせ、モーターメイデンが出撃を繰り返す中で受けた通信。
『教えて――お願い』
酷い、と彼は思った。彼女の初めてのお願いが、こんなことだなんて。
だけれども、彼は伝える。
自分の伝える言葉が、彼女を殺すとわかっていながら。
『じゃあ、またね』
「ああ、また会おう」
二人は、決して果たせない約束をした――
敵味方表示映像板に映る敵は数十万、対するはただ一騎。
「最高の仲間とオスカーが造ったこの子と、最高峰の躁騎士たるボク――」
汗と血と小水で汚れた銀髪の少女は、操縦席で壮絶に笑う。
「教えてやる――ニンゲンをあんまりなめんなよっ!!!!」
疾走する巨人の中で、少女が涙とともに溢した言葉は誰にも届かずに消えた。
「ねぇ、知ってたかな? ボクは君が――ほんとに大好きだったよ」
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-10-21 23:00:00
58223文字
会話率:33%