目を覚ましたとき、俺は真っ黒な天井を見つめていた。
「……ここ、どこだ?」
口からこぼれた言葉が、やけに反響する。床は冷たく、石造り。
空気はひんやりとしていて、どこか鉄の匂いがした。自分がいたのは、まるで中世の城のような場所だった。
最終更新:2025-07-02 18:20:30
107001文字
会話率:43%
主人公は17歳、神代 直(カミシロ ナオ)現世では高校2年生
学園では成績は常に「中」、スポーツも「中」という、いたって平凡。
しかし、実は忍者の末裔の家に生まれ、今も脈々と受け継がれているものがあった。
あらゆる武器に精通し、武術の習得と
勉強面での知識習得。
ーある日、教室の隅に現れた黒い点
それに気づいて指を近づけた瞬間、意識が飛んで昏倒した。
次に目覚めたのは、薄暗い石造りの部屋の中だった。
そこには人類とは程遠い異形の姿をした生物が複数存在していた。
目覚めた場所は"ダンジョン50階"
上階を目指すか、下階を目指すか、それとも.....。
神代家に伝わる伝承、神代の血、常に求められていた忍びとしての動き、『目立たないように』と言われ続けたナオの冒険が始まった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-02 07:22:04
108608文字
会話率:30%
かつての王国ネルーダを、妖魔達の支配から国民を救い出したロルカとパステルナークであるが、その平安に満ちた国の聖なる丘で祈りを捧げていると、再び妖魔達が国を支配するという未来の啓示が与えられる。自国の未来の危機を救おうと、再度、聖なる森の時空
を超えられる扉を開こうとするパステルナーク達。未来の国で蔓延る妖魔達を相手に念の力を持った幼児を連れて、パステルナーク達は最後の戦いに挑む。
此の作品はカクヨムにも掲載されています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-01 10:41:51
45254文字
会話率:30%
……長い眠りから覚めた気がした俺が見たのは、見慣れない石造りの天井と、心配そうに俺をのぞき込んでいる綺麗なお姉さん。
そして小さくなってしまった子供の体と、二つの記憶。
一つは日本で冴えないアラフォーサラリーマンをやっていたもので
、もう一つはアムルサール帝国の26代皇帝、アムルサール26世。11歳のもの。
幼い皇帝の記憶によると熱病に罹って死んでしまったらしく、そこに俺の魂が入って生き返ったらしい。
――大国の皇帝とか人生勝ち確なのではと舞い上がったのも束の間、すぐに様子がおかしい事に気付く。
皇帝の死に際だったというのに、殺風景な部屋には付き添いが一人だけ。医者も大臣もいない。そんな事ってあるのだろうか?
不審に思って情報を集めた俺は、間もなく知ってしまう。
この国は宰相によって牛耳られており、皇帝はただのお飾り。宰相の意に添わなければ簡単に挿げ替えられてしまい、その数はこの40年で21人。皇帝の平均寿命は15歳という、まさに使い捨ての存在である事を。
――勝ち確人生のはずが一転、命の危機に瀕した俺はなんとか生き延びる方法を。
できれば王宮から多少の資産と、美人なお姉さんを連れて逃げる方法を探す事を決意する。
この物語はそんな打算に満ちた俺が、恩人の少女と幼い皇帝の記憶に残っていた望みを叶えるために。平凡な人生経験と読書好きだった知識を活かして国を取り戻し、恋した女の子と一生を添い遂げる。そんな純愛帝国再建記……。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-27 07:20:00
683525文字
会話率:19%
灘木優、会社員、既婚、子なし、27歳。
平日昼間に忘れ物を取りに家に帰ったら、体調不良で休んでたはずの旦那がうちの会社のゆるふわ肉食系女子と浮気してました。
何故かこっちが責められて『出て行け』とか言われたけど、このアパート家賃払ってるの私
だから出て行くのはそっちだよね。
…とか言ってるうちに気が付いたら全員まとめて見知らぬ石造りの部屋に飛ばされ、ファンタジーな服装のご老人に、旦那は『勇者()』、浮気相手は『セイジョ』、私は『主婦』と判定されました。
「よう、主婦。お前が頭を下げて『誠心誠意勇者様のために尽くします』と誓うなら、養ってやらんこともないぞ」
「お断りします」
有り得ない状況だけど、これはチャンス。
不良債権は悦に入ってる間に他人に押し付けるに限る。
──そんなこんなで始まる、ネコ好き・童顔・毒舌アラサー『主婦』の異世界ライフ。
主婦だからって、大人しく家に収まってるモンだと思うなよ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-24 18:16:19
737985文字
会話率:41%
「この世界は、俺からすべてを奪った。」
目を覚ますと、見知らぬ天井。
灰色の石造りの部屋、壁には奇妙な文字が浮かぶ。
手には、光るコインが一枚――それが、俺の“最初の資産”だった。
俺――アキラは、かつて現実世界でゲーム開発者として生き
ていた。
だが、ある日突然、裏切りとともに命を落とし、気づけばこの異世界に転生していた。
この世界では、すべてが“システム”で管理されている。
コインを使い、スキルやアイテムを購入できるが、購入回数には厳しい制限がある。
一度買ったアイテムは、一定期間しか使えない。
だが、俺には特別な能力があった――
「タイムループ・リセット」
死ぬたびに、コインだけを持ち越して時間を巻き戻せる。
この力を使い、俺を裏切った者たち、そしてこの世界を支配する“理不尽なシステム”に復讐する。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-18 00:41:22
1186文字
会話率:20%
成績優秀で頭脳明晰な高校生、青木健次郎。そんな彼にとって最も快感を覚える瞬間は、悪知恵が成功したときである。
ある日、人を見下し大笑いしていた健次郎は、呼吸困難に陥り死亡した。
……かのように思われたが、次の瞬間目にしたのは石造りの
街並みであった。
案内を受けて冒険者ギルドへ足を踏み入れた彼を待っていたのは、賢者召喚の儀を行った貴族であった!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-15 23:46:49
481839文字
会話率:33%
高校1年生、葵 慧(あおい けい)は、観察力と分析力を武器に、あらゆる状況の「先」を読む少年だった
全国レベルの薙刀選手として活躍していた彼は、大会出場を目前に控えたある日、通学中の事故により突然その命を絶たれる
だが、彼が次に目覚めたの
は、冷たい石造りの地下室──
聞き取れない言語、見知らぬ兵装、無骨な鉄と血の匂いが漂う空間だった
そこは、中世ヨーロッパ風の異世界。魔法も神秘も存在しない、生身の肉体と武器による純然たる戦いだけが支配する世界
言葉すら通じない環境下で、慧は即座に状況を分析し、咄嗟に手にした鉄棒で迫る衛兵を打ち倒す
「ここでも“間合い”さえ掴めば、生き延びられる──」
この世界には「薙刀」という概念も技術も存在しない
それは慧にとって、すなわちこの世界における「誰も知らぬ最終兵器」を意味していた
だがそれは同時に、「異端」としての烙印でもある
やがて慧は、自らの存在がこの世界の均衡を乱す“異物”であると気づく
既得権を守ろうとする王、見えない支配構造、理不尽に染まる軍隊と民衆──
どこにも「正しさ」などない
彼は戦う。分析し、行動し、生き延びる。その先に、誰かのための理想などない
あるのはただ一つ、「この世界に確かに自分は在る」と証明することだけ
命乞いはしない。奇跡にも縋らない
魔法のない異世界で、ただ己の肉体と思考で道を切り拓いていく
「“あり得ない”は、俺にとって存在しない言葉だ」
これは、武器と知略だけで抗う、少年の流浪戦記である。
英雄にも、反逆者にも、救世主にもならない一人の少年が歩む、“可能性の記録”折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-13 05:10:00
4291文字
会話率:23%
一山あてて上京を夢見る田舎の青年、ヨシノリは地元の寂れた心霊スポット撮影中、誤って祠に体当たりをかましてしまい、石造りの祠を破壊してしまう。
そそくさとその場から逃れた彼だったが、すぐに道端で見知らぬ男が話しかけてくる。
「ああ……。
君ぃ、あの祠壊しちゃったんだぁ。ははっ。君、死ぬよ?」
あまりにも的確かつ恐ろしい宣告にヨシノリはそのままその場を後にする。だが、その後行く先々で「君、死ぬよ」と暗に示したり怪しい反応を見せる、見知らぬ人々が現れてゆく!
一体何なのか! やっぱりヨシノリは死ぬのか? 十人の目的は?
そして、祠に祀られていたものとは一体……。
カクヨムにも掲載しております
https://kakuyomu.jp/works/16818093088395265824折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-09 19:00:00
360836文字
会話率:24%
古びた石造りの教会が、雨に打たれながら静かに眠る小さな村――ミカエル村。
そこには、神父を失い、鐘が鳴らなくなった祈りの家があった。
そんな教会に通い続ける少女・マリアは、ある雨の日、不思議な猫と出会う。
灰色の毛並みに青い瞳、そ
して咥えていたのは、亡き神父の杖――。
その日から、猫は教会に通い、まるで神父のように村人の心を受け止めはじめる。
やがて人々は、彼を「猫神父(フィリクス)」と呼び、再び教会へと足を運ぶようになる。
しかし、教会の閉鎖、マリアの過去、猫の正体
さまざまな“沈黙の祈り”が交差する中で、マリアはひとつの決意をする。
「わたしの声が、あなたに届いていたのなら――それだけで、生きていける。」
これは、“言葉を持たない神父”と“祈りを抱えた少女”が出会い、
心を通わせ、別れ、そして希望へと向かう、静かであたたかい奇跡の物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-06-04 20:45:18
3342文字
会話率:14%
かつて王都の役人として働いていた青年・ユウトは、心身をすり減らす日々の中で、ふと気づく。
「パンを焼けない人生なんて、ごめんだ」と——。
安定を捨て、辺境の村《リトベル》に移住したユウトは、小さな石造りのパン屋を開く。
焼きたてのパンの香
り、薪の火の温もり、ゆったりと流れる時間。
それは、騒がしい都会とは無縁の、穏やかであたたかなスローライフだった。
元気すぎる村娘ミレナ、無口な(?)石窯グラム、そして謎めいた旅人セレスティア——
個性的な仲間たちに囲まれながら、今日もユウトはパンを焼く。
これは、パンと静かな時間、そして少しだけ心がほどけていく人々の、
のんびりあまやかな異世界スローライフ物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-22 13:30:00
23767文字
会話率:48%
それは、帝国が血と肉で築いた円環。
見世物の名を借りた処刑場。
民は歓声をあげ、王は恩寵を語る。
帝国の栄光は、いつも死の上にこそ咲き誇る。
その巨大な石造りの闘技場は、「王の胎内」と呼ばれた。
生と死が混じり合い、血肉が蠢く胎内。
ここで生き延びた者だけが帝国に再び産み落とされ、名誉アルトリウス人として新たな命を得る。
それは第二の誕生、血の洗礼を経た再生の儀式だった。
その内に生きる者たちは、すべて“罪”を背負っていた。
大戦で帝国に抗い、敗れ、捕らえられた兵士。
祖国を焼かれ、帝国への復讐を叫んだ者。
己が欲望のままに殺し、奪い、破壊した戦犯。
誰もが、帝国に仇なした咎人であり、誰もが、帝国市民の「娯楽」として、生きることを許された。
敗者の血で濡れた土が幾度も耕され、勝者の雄叫びが天蓋を突き破り、そして、生者と死者の境は、歓声の渦の中に溶けてゆく。
2大マフィアが管理する都市で代闘士として生活する青年ルグナーシュ
歪な街で起こるサスペンス群像劇
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-12 09:48:45
45626文字
会話率:11%
目を覚ましたとき、僕は見知らぬ石造りの部屋にいた。
空には二つの月が浮かび、壁際には、銀色に輝く不思議な箱が鎮座していた。
「こんにちは。あなたは“選ばれし書き手”ですね」
箱からは、まるで心に直接響くような声がした。
異世界AI×少年
最終更新:2025-04-29 21:40:35
23459文字
会話率:21%
私はその日、静かに息を引き取った。
日本で、ひとり暮らしのソロ活を楽しみながら、本とコーヒーに囲まれて生きていた私。介護の仕事は大変だったけど、誰かの役に立てる喜びも知っていた。
そんな平穏な毎日が、ある日突然終わりを迎えたのだ。
気づけば、私は知らない世界にいた。
青い空、緑の大地、そして石造りの重厚な屋敷。
新しい名前は――エリシア・フォン・ラントベルク。辺境の地を治める、ラントベルク辺境伯家の次女だ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-27 14:43:58
23836文字
会話率:22%
仕事を終え、いつものように帰宅した天野圭介。
玄関の扉を開けた先にあったのは、見知らぬ石造りの部屋だった。
何が起きたのかも分からぬまま、圭介は勇者として異世界に召喚される。
課せられたのは、魔王の討伐という大義。だが、それは彼にとって本当
の目的ではなかった。
「どんなことがあっても――必ず家に帰る」
理不尽な運命の中で、彼は帰還というの願いを胸に、剣を取る。
これは、一人の男が日常を取り戻すために抗い続ける、異世界帰還譚。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-25 18:14:04
97254文字
会話率:33%
ささやかな日々に充足を感じていた女子大生、
佐野史華(さのふみか)は20歳の誕生日当日にアパートの階段から転落してしまう。即死!!!と思いきや、
「あれ?体痛くないし、ここは天蓋付きのベッド?」
窓から外を眺めれば、手前の庭には綺麗な緑の芝
生、奥には見慣れないたくさんの石造りの家広がっていた。
「いやいやいやちょっとまってここどこよーーー!」
なんと史華は異世界に転生していた!!
しかも、ただ異世界に転生しただけじゃなく、
陰謀を一緒に解決して愛を深めちゃうADV『Spectacles Cinderella 』に出てくる
悪役令嬢、フェリシア・エリオットになっていた!!!
起きたら異世界?!
いやいや魔法はありません!
転生といえば主人公?
いえいえ立派な悪役です?!
悪役令嬢でも幸せになれるはず!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-23 22:26:03
50265文字
会話率:38%
旅行が趣味の、とある男。ヨーロッパの田舎町を訪れ、ひっそりと建つ古びた教会を見つけた。
石造りの外壁はところどころ崩れ、ひび割れには苔がびっしりとこびりついている。木製の扉は半ば朽ち、微かに軋む音を立てながら開いた。
内部には埃が漂い
、天井の隙間から斜めに差し込む光が、舞う塵を銀色に浮かび上がらせていた。床には風や鳥が運んだのか、小さな草花がひっそりと咲いている。
神父の姿も巡礼者もおらず、完全に廃墟となっていた。だが男は、むしろその荒れ果てた静けさに、妙な神聖さを感じた。
目を閉じて深く息を吸い、静かに耳を澄ませる。どこからか聖歌が響いてくる気がした。
「……聖歌? 空耳……いや、確かに聞こえる」
折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-04-21 11:00:00
1887文字
会話率:50%
昼休みも終わりに近づき教室に生徒は戻る。
家久 高志は1番遅れて教室へ入りドアを跨ぐとその瞬間視界が光に包まれ雲の上に佇んでいた。
そこに居た女神と名乗る女性から「補填です」と言われスキルを授けられ、その後異世界に召喚されるがクラスメイト
もなんと召喚されていた。
教室にいた全員がその場に集合していた。
石造りの広場のような場所でアゼー王国の国王と名乗る人物から事の詳細を説明され、クラスメイトが勇者として召喚されたことを知る。
勇者は基礎能力が非常に高い剣士という特性を持つが家久高志だけがなんと基礎能力が平均以下だと言うことが判明し、街に放り出されてしまう
スキルを駆使して、基礎能力が低いのをカバーしながら別方面から勇者パーティー(クラスメイト達)より先に魔王討伐を目指すストーリーです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-04 13:00:00
141683文字
会話率:64%
目覚めると記憶が無く、森の中にある石造りの家で全裸で目覚めた青年は、自身の中にいるメイ・ウォーカーと名乗る女性に己の現状を伝えられる。
とくにやることは無い。自由に生きろと言われ、ナインと名付けられた青年はメイと共に世界を旅する。
この先に
ある真実と己の存在理由を知るために。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-23 16:00:00
594810文字
会話率:39%
こっちにしました。下は本編のあらすじです。
そこは古びた石造りの小さな温泉宿だった。MP回復の湯が名物だが、ご存知のようにある程度の魔法は札やコインによっていつでも誰にでも使える。にもかかわらず客は引きもきらない。
部屋は二階も合わせて
六部屋しかないが、どこも行き届いた手入れがなされ、家具調度に床までも丁寧に磨きこまれ鈍く深い色で光っていた。清潔で、質素な装飾は、例えば一時のいろどりの切り花ではなく、鉢植えの魔法の花が窓辺に置かれている。壁に掛けられた絵の中の人物も客にやさしく微笑みかける。客用の小物……タオルや櫛や石鹸などにもさまざまな魔法が込められていて、それらを家に持ち帰り、やがて魔法の効果が切れるとまたこの宿に行きたくなるようになっていた。が、それらを求めることが目的でなく、何度も宿を訪れる人も多いと聞く。魔法はMPによって管理されるが、心を込めるとは、時間によって効力が消えうせるものではないのである。
旅人は孤独であり、放浪に身をやつし、いつも通り過ぎてゆく。体力の回復だけならば、王国の仕組みの適当な場所でいつでもできるようになっている。しかし、どんな人にもつかの間の休息は必要である。ここはあらゆる人にひとときの癒しを提供する魔法の宿だった。たとえ二度と消えることのない傷を抱えていたとしても……。
※
それはともかく、そんな宿のレストランは、地元の人たちが集い語らう場になっていた。きょうも寡黙な亭主がつくる珍しい料理に舌鼓を打ちながら、馴染みの面々が果実酒を傾けながらどうでもいいようなことで話に花を咲かせている。
今日も今日とて、若女将が女学生だったときの昔の同級生が訪ねてきて……。
折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2025-02-16 21:22:54
26784文字
会話率:0%
そこは古びた石造りの小さな温泉宿だった。MP回復の湯が名物だが、ご存知のようにある程度の魔法はコインによっていつでも誰にでも使える。にもかかわらず客は引きもきらない。
部屋は二階も合わせて六部屋しかないが、どこも行き届いた手入れがなされ
、家具調度に床までも丁寧に磨きこまれ鈍く深い色で光っていた。清潔で、質素な装飾は、例えば一時のいろどりの切り花ではなく、鉢植えの魔法の花が窓辺に置かれている。壁に掛けられた絵の中の人物も客にやさしく微笑みかける。客用の小物……タオルや櫛や石鹸などにもさまざまな魔法が込められていて、それらを家に持ち帰り、やがて魔法の効果が切れるとまたこの宿に行きたくなるようになっていた。が、それらを求めることが目的でなく、何度も宿を訪れる人も多いと聞く。魔法はMPによって管理されるが、心を込めるとは、時間によって効力が消えうせるものではないのである。
旅人は孤独であり、放浪に身をやつし、いつも通り過ぎてゆく。体力の回復だけならば、王国の仕組みの適当な場所でいつでもできるようになっている。しかし、どんな人にもつかの間の休息は必要である。ここはあらゆる人にひとときの癒しを提供する魔法の宿だった。たとえ二度と消えることのない傷を抱えていたとしても……。
それはともあれ、そんな宿のレストランは、地元の人たちが集い語らう場になっていた。きょうも寡黙な亭主がつくる珍しい料理に舌鼓を打ちながら、馴染みの面々が果実酒を傾けながらどうでもいいようなことで話に花を咲かせている。
今日も今日とて、若女将が女学生だったときの昔の同級生が訪ねてきて……。
上は『異世界旅館』のための前文です。挿話のようにしか入らないのにメインのような扱いの旅館。冒険譚は子供たち、アニキたち、王女も過去に……。
こっちは設定です。創作に興味ない人は物語のほうをお楽しみください。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-02 19:39:52
20101文字
会話率:0%
そこは古びた石造りの小さな温泉宿だった。MP回復の湯が名物だが、ご存知のようにある程度の魔法は札やコインによっていつでも誰にでも使える。にもかかわらず客は引きもきらない。
部屋は二階も合わせて六部屋しかないが、どこも行き届いた手入れがな
され、家具調度に床までも丁寧に磨きこまれ鈍く深い色で光っていた。清潔で、質素な装飾は、例えば一時のいろどりの切り花ではなく、鉢植えの魔法の花が窓辺に置かれている。壁に掛けられた絵の中の人物も客にやさしく微笑みかける。客用の小物……タオルや櫛や石鹸などにもさまざまな魔法が込められていて、それらを家に持ち帰り、やがて魔法の効果が切れるとまたこの宿に行きたくなるようになっていた。が、それらを求めることが目的でなく、何度も宿を訪れる人も多いと聞く。魔法はMPによって管理されるが、心を込めるとは、時間によって効力が消えうせるものではないのである。
旅人は孤独であり、放浪に身をやつし、いつも通り過ぎてゆく。体力の回復だけならば、王国の仕組みの適当な場所でいつでもできるようになっている。しかし、どんな人にもつかの間の休息は必要である。ここはあらゆる人にひとときの癒しを提供する魔法の宿だった。たとえ二度と消えることのない傷を抱えていたとしても……。
※
それはともかく、そんな宿のレストランは、地元の人たちが集い語らう場になっていた。きょうも寡黙な亭主がつくる珍しい料理に舌鼓を打ちながら、馴染みの面々が果実酒を傾けながらどうでもいいようなことで話に花を咲かせている。
今日も今日とて、若女将が女学生だったときの昔の同級生が訪ねてきて……。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-02 19:28:00
264730文字
会話率:54%