「死にたいなら俺にその命をくれないか。俺は、こう見えて近々死ぬらしい」
古びたノートを鞄から取り出す美しい男子。流我奏(りゅうがかなで)。
「俺、不思議な予知ノートを持っているんだ。俺は事故に遭う運命で、長生きはできないって書かれていた。
予知ノートは、俺の家に代々受け継がれているんだ。これに毎日生きる意味を書き込むと自分の寿命が延びるって書かれているんだ。自分が生きるためには、誰かに死を交換してもらわなければいけないらしい」
織川美音(おりかわみおと)と同じ中学出身の流我奏は元天才ピアニストだった。
今は二人とも二十歳のフリーター。
ピアノを教えてくれるのならば、死ぬのを代わってもいいと申し出る。すると、
「俺の代わりに死ぬ価値があるか見極めたい」と言われる。
旧校舎のグランドピアノを深夜に奏でる時間。
一人ぼっちの夜は二人きりの夜に変わった。
二人の距離が近くなったころ、深夜に帰宅途中、交通事故に遭い、二人きりの音楽の時間が終わってしまう。
流我奏には、ずっと秘めた想い出があった。
深夜の旧校舎での出会いには秘密があった。
無意識な親切――。
生きる意味――深くて難しい問題だ。
生きる意味がない人、価値がない人なんているのだろうか?
生きる価値を見つける物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-07-27 23:31:55
18843文字
会話率:40%
ボクは、傍観者だ。
小学生の鬼灯航(ほおづき わたる)は、そんな思いを抱えながら、孤独な学生生活を送っていた。
とある真夏の昼休み。クラスメイトの交す会話を盗み聞きしていた航は、成り行きで菊池岳志(きくち たけし)、愛称ガクと、お化け
がいるという噂の、近々取り壊される予定の今は使われていない旧校舎に、一緒に肝試しに行くことになってしまう。
真夜中の旧校舎で、二人を待ち受けるものとは。
真夏の夜に起きた、少し怖くて、少し切ない、そんなお話。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2013-08-06 15:07:21
16536文字
会話率:53%