ショートショートです。元家電業界の老人が、球体の置物を手にして、実はこれはテレビなんだと話し始める。同僚の丸岡という男が開発した、究極のテレビだと言う。ある操作をすれば、球体は画面に変形する。どんなサイズにでも変幻自在。映画のような大画面に
もなるし、掌サイズにもなる。画質だって桁違い。3D映像で観ることも出来る。目の前にその人物がいると錯覚するほど。音質も凄い。本格的なサラウンドシステムが搭載されていて、包み込むような音場感が得られる上に、耳にも優しい。さらに過去50年まで遡って録画ができるタイムマシン機能付き。音声や動作で操作することも可能。防水機能も完備。果たしてそんな究極のテレビが発明されたのは、昭和32年。カラーテレビの本放送が開始されるよりも前の話。しかし、この究極のテレビは、家電業界の思惑により、発売される事はなかったのである。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-17 13:02:08
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