ショートショートです。元家電業界の老人が、球体の置物を手にして、実はこれはテレビなんだと話し始める。同僚の丸岡という男が開発した、究極のテレビだと言う。ある操作をすれば、球体は画面に変形する。どんなサイズにでも変幻自在。映画のような大画面に
もなるし、掌サイズにもなる。画質だって桁違い。3D映像で観ることも出来る。目の前にその人物がいると錯覚するほど。音質も凄い。本格的なサラウンドシステムが搭載されていて、包み込むような音場感が得られる上に、耳にも優しい。さらに過去50年まで遡って録画ができるタイムマシン機能付き。音声や動作で操作することも可能。防水機能も完備。果たしてそんな究極のテレビが発明されたのは、昭和32年。カラーテレビの本放送が開始されるよりも前の話。しかし、この究極のテレビは、家電業界の思惑により、発売される事はなかったのである。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-17 13:02:08
2787文字
会話率:0%
――あなたの家に、『家電』はいくつありますか?
一人の青年が大学入学を機に上京してきたところから物語は始まる。
彼が出会ったのは、少し変わった黒服の少女。
彼女は街の商店街にある小さな電器屋を切り盛りしている店主だった。
ひょんなところか
ら彼女と関わってしまった彼は、
彼女が持ってくる「少し変わった家電」を次々に買わされることに。
霊を吸い込む空気清浄器に、仕事をサボる自動掃除ロボット
あげくの果てに自分勝手で我儘なパソコン……。
平穏とは程遠い、
気付けば振り回させてしまうドタバタした日常。
けれどその中で、彼と彼女はお互いに大切なモノを見つけて行く。
これはそんな、優しい恋の物語。
獅子倉電器商店で、
あなたのためだけの家電、買いませんか?
過去に富士見ファンタジア大賞で3次選考までいった作品ですが、
なにぶん変化の速い家電業界、
今ある機種よりは結構古い話もばかりになってしまいました。
それはそれとして楽しんで物語を頂ければ幸いです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-09-05 03:35:13
84453文字
会話率:50%