この世界では「書かれたもの」が全てである。記録されることで存在が確定し、記録されぬものは“なかったもの”として扱われる。
だが、誰にも読まれず、誰にも記されなかった魔導書──
その無記の書を手にした無名の魔法使いの少女が、大国図書塔の最奥
へと足を踏み入れる。
そこで彼女が出会ったのは、世界のすべての記録を統べる存在──番人。
しかしその番人もまた、自らが"記された存在"なのか、それとも"誰かによって読まれた結果なのか"を知らずにいた。
「書かれていない魔法を、私は読む。」
少女と番人の出会いが、世界の“言葉”と“記憶”の根底を揺るがしていく。
これは、“読まれる”ことを忘れた世界における、魔法使いと機械の旅路。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-14 11:37:42
19931文字
会話率:40%
インターネットが更に発達した時代、異常猟奇犯罪の増加が社会問題となっていた。
それらの原因を突き止めたのは専門の心理学者や社会学者ではなく、心理学の博士号も持つ言語学者だった。
彼はインターネット上でやり取りされる文章の深層構造に、一見普通
の文章に見えても人を狂気に陥れる文法、病質言語が隠されていることを発見した。
これらはミームとして拡散し、変質し、また拡散し、病質言語を発見次第削除するwebボットを放流してもすぐに定義から外れ変質した病質言語が生成され、イタチごっこの末、インターネットの利便性が低下したことによる民意、言論統制の手段であるという陰謀論、そして「キリが無い」ことから現代では病質言語のミーム、「サイコミーム」が野放しになっていた。
今日もテレビでは異常事件のニュースが流れる。
これはそんな狂った世界で狂った一人の少年が、自分だけのお姫様である狂った少女を守るために、剣と魔法の代わりにナイフとインターネットを使って戦うありふれた物語
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-01-22 09:13:53
9100文字
会話率:36%