重複投稿。
檸檬を見つめていたら、檸檬の貌が三椏渚男の顔になった。三椏渚男はぼくの恋人友永結衣をヴァレンタイン・デーの日に略奪して行ったかつての親友である。悔しいので齧り倒してやろうと大きな口を開けたら、「やめて!」と小さな声がした。
よ
く見るとぼくの手に持っていたのは、檸檬ではなく野球の硬球であった。そしていつの間にか左手にはグラブをしていた。周りを見回すとそこは甲子園球場で、ぼくはマウンドの上に立っていた。キャッチャーが近寄ってきてこう言った。
「杉野、気にすることはない。俺のミットへ向かって思いっきり投げろ。お前の剛速球なら絶対打たれないさ」。
ぼくは杉野なんて名前ではないと言おうとしたら、キャッチャーはマスクを被って戻ってしまった。塁はすべて走者で埋まっており、アウトカウントは2アウトだった。打者は阿部慎之助だった。ぼくが高々と振りかぶって投げようとすると、「やめて!」と小さな声がした。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-04-23 16:33:21
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