失恋の傷が癒えない庄助を、素間は自身の尻ぬぐいのために、引っ立てる。しののめの主様は熊、夕刻の主様は菩薩だと素間は言う。朝、夕で御霊が変るということだ。
拝田の童を救った美月だが、美月の狙いは庄助の命だった。美月は、昭暝を使って、庄助暗殺を
企んだのである。
殺生の禁忌を企んだとなれば、美月には罪がある。美月は素間がお気に入りだ。尻ぬぐいは美月にして貰えと、庄助は突っぱねる。
美月は素間の弟だと素間は言い、自分たちの本性は、霊狐だという。
二匹の狐は、朝熊岳の主様に可愛がられ、僕となって暮らしていたが、兄狐の素間は、ひょんなことから娘に憑いてしまい、結果、野間家の子息に産まれてしまったのだという。
与太話だと、聞き捨てた庄助だが、素間の乳母、お舟の裏付けに、信じざるを得なくなる。
庄助は神の子だと、語る素間に、庄助は自身の父親の正体を知る。
再び、主様の御前に出た庄助は、以前と違って穏やかな様にほっとする。素間は都合良く話を作り替え、全ては大神様の思し召しだと、胸を張る。
上手く話を纏めた素間は最後に、霊薬を賜りたいと申し立てる。主様は、鼻をほじって霊薬を下賜した。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-29 21:52:29
481文字
会話率:0%
庄助が、生きていたと知った安五郎は、誠二郎の裏切りを知る。
本気の誠二郎は、安五郎に攻撃をしかける。
玉助と、付け髷弥平と共に、安五郎の攻撃を躱すばかりの庄助には、戦う得物がない。
間一髪のところを、玉助に救われ、何とか難を逃れた庄助は、闇
に飛びこんだ安五郎に安堵する。
童も美月も無事であると知った庄助は、誠二郎を促して拝田村へ戻ろうとするが、髷を切られた弥平は、怒りが収まらず、庄助の口を借りて敵討ちを主張する。誠二郎は、それを庄助の言葉と受け止め、共に安五郎の後を追う。
竹取の金太郎という、特別な技を持つ安五郎は、滅法強い。庄助が手にした山刀は、簡単に折れてしまう。応戦する誠二郎に、逃げるだけの庄助は安五郎に押されがちだ。
素間の進言によって、間の山の芸人らしく戦った庄助は、安五郎に一矢報いた。逃げていく安五郎を誠二郎が追う。
一連の様子を、昭暝が覗っていることを知った庄助と素間は、朝熊岳のご神木へと、昭暝をおびき出す。昭暝は主様に喰われる。
一件落着を祝って、庄助は古市の備前屋へ招かれる。拝田村の面々、金剛證寺の和尚と三八、誠二郎を招いた宴は、神凪さんの主催だ。神宮の祭主ですらも一目を置く神凪さんは、伊勢の影の実力者と言われる。誰もその正体を知らないと言われる神凪さんは、素間だった。宴たけなわの中、庄助は、想いを寄せる美月が男だったと知って、衝撃を受ける。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-29 12:50:33
19477文字
会話率:32%
太兵が死んだ――。知らせを受けて向った勢田川のほとりには、衣も纏わぬ太兵の骸がうち捨てられていた。民人にとって、穢人は犬猫と同じ。無残な刀傷も露わに、驚愕に目を見開いた姿は、庄助の哀しみを煽った。
自らを責め、哀しみにくれる庄助に、素間は珍
しく労りの態度を示す。
太兵は勘違いで殺された――。素間は謎の言葉を残したまま、野辺送りの場から姿を消した。深夜の御師邸に忍び込み、件の仲間の様子を確かめようと腰を上げた庄助は、朝熊岳の小坊主の元へ行けという素間からのメッセージを受ける。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-05-18 16:14:07
5706文字
会話率:23%