七番目に旅立つ彼女に与えられた名は、ハルカナという。
もちろん型式番号もちゃんとある。あるにはあるが、数字とアルファベットとハイフンを十ばかり並べた味も素っ気も可愛げもないそれは記録上にさえ存在していればそれで十分で、開発者たちでさえそ
のロボットのことはハルカナと呼んだ。
ハルカナという名が示す通り、そのロボットは女性型だ。世が世なら中学校に通っていそうなくらいの少女の姿をしている。名前に使われている言語と同じ東洋系の顔立ちで、千以上に及ぶサンプルに平均値という呪文をかけた容姿は黙っていても人目を引くほどになった。
しかし、どんなにシャクヤクボタンの可愛らしさでも、その人工皮膚を一枚捲れば現行の主力兵器も真っ青の魔法のようなテクノロジーが詰め込まれているのだ。
たったひとつの目的のために。
方舟計画。
名称に捻りを加える余裕さえ失った人類による、瓦礫と鉄屑とそこに潜むものどもが支配する大地からの、人類救出計画。
その第七次、そして最後の実行者として、
ハルカナはひとり、
およそ36000キロメートル下の地球へ行く。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-05-26 08:49:58
147397文字
会話率:18%