S県空の宮市中部に位置する中高一貫私立星花女子学園に通う学園の王子様・佐伯光は、自分の住む海谷市で偶然出逢った真っ直ぐで屈託のない新入生・沢村光に、あるアクシデントを通して星花女子学園で再会する。偶然にも同じ名前を持つ彼女たちは、最初はぎこ
ちないながらも時間をともに過ごすなかで少しずつお互いのことを知り、次第に仲良くなってゆく。しかし学園の王子様・佐伯光には、人には言えないある[秘密]があって────
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波の音が聞こえていた。自分の隣で手を繋いでいる、まだあどけなさの残る彼女を横目で見れば、どこまでも真っ直ぐな澄んだ瞳が夜の海を見つめていて。悪いことを知らないその綺麗な澄んだ瞳がどうしようもなく羨ましくて、そして少しだけ憎かった。
繋がれたままの彼女の手を強く引けば、隣に立つ彼女が戸惑ったようにこちらを見て、不安げに僕を見上げていた。いくら大人びて見えても、やっぱりそんなところは子供だなんて頭の片隅で考えてつい笑ってしまえば、彼女は「なんだよ」と言ってその頬を不満げに膨らませた。
「……ねぇ、」「ん?」
あどけなさの残るその膨れた丸い頬に出来るだけ優しく触れれば、彼女は酷くくすぐったそうに目を細めて「なんだよ」と再度甘えるように笑った。母親に向けるようなその表情に優しく笑い返すと、その小さな耳もとで囁く。出来るだけ優しく聞こえるようにと願いながら。
「────僕と一緒に×××くれる?」
僕の言葉を聞けば、彼女はその柔らかな表情を一変させて驚愕したように目を見開く。「え」と言う甘く掠れた声とともにその澄んだ大きな瞳が僕を見つめるのをどこか心地よく思いながら、四つも年下の彼女に甘えるようにその華奢な肩に腕をまわせば、彼女はぴくりと肩を跳ねさせてから困ったように目を伏せた。
波の音がやけに大きく聞こえていた。それに耳を澄ませながら「光?」と優しく聞き返して彼女の返答を待てば、彼女にしては珍しくやけに頼りなげな声で呟いた。
「オ、オレは────」
***
主催:楠富つかさ様
出版:星花女子学園
掲載:星花女子プロジェクト第10期(12月号)
協力:星花女子学園、星花女子学園生徒・教職員の皆様、海谷市、空の宮市、海谷市漁業組合、佐伯光の御家族の皆様、沢村光様の御家族の皆様
キャラクター原案:藤田大腸様(沢村光様考案)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-06-18 00:16:27
4915文字
会話率:25%
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「はぁ.....俺はなんて不運なんだろう」
コンクリートの寝かしつけられた男は、掠れた声で小さく呟いた。
最終更新:2023-01-11 12:42:09
15932文字
会話率:55%
――エリザベート王女の声は呪いの声。『白の王妃』が亡くなったのも、呪いの声を持つ王女を産んだから。あの嗄れた声を聞いたら最後、死んでしまう。ーー
母親である白の王妃ことコルネリアが亡くなった際、そんな風に言われて口を聞く事を禁じられたア
ルント王国の王女、エリザベートは口が聞けない人形姫と呼ばれている。
しかしエリザベートの声はただの掠れた声というだけで、呪いの声などでは無い。
普段から城の別棟に軟禁状態のエリザベートは、時折城を抜け出して幼馴染であり乳兄妹のワルターが座長を務める旅芸人の一座で歌を歌い、銀髪の歌姫として人気を博していた。
そんな中、隣国の英雄でアルント王国の危機をも救ってくれた将軍アルフレートとエリザベートとの政略結婚の話が持ち上がる。
アルフレートとエリザベートの結婚生活と、エリザベートの秘密は……?
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-05-26 20:03:01
124097文字
会話率:59%
遥果 <はるか> が差し出す傘に入る
夕映 <ゆえ> の甘く掠れた声。
奏多 <かなた> と抱き合うと潮の香りがしてくる。
ゆらゆら揺れて波の中。引きずり込まれ溺れていく。
三人が絡みあう、ひと夏の海辺の物語。
*この作品は、note、
カクヨム、エブリスタにも掲載しております。
©️水菜月2021.
この小説に掲載されている文章・写真・イラストの著作権は
作者水菜月に帰属致します。許可なく無断転載、使用、販売を禁止します。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-04 22:00:00
13579文字
会話率:16%
女子高生がうざい。特に花川弥生がうざい。
花川に会ったのは夜中のことだった。俺はその日、会社の飲み会で帰るのが遅くなって、大した量は飲んでいなかったのだがほろ酔いの楽しい気分で駅から自宅までの道を歩いていた。すると道端で女子高生が蹲って
泣いてやがった。街灯のぼんやりした灯りを頼りに自転車をがちゃがちゃやっている。どうやらチェーンが外れたらしい。「どうしよ」、「帰れない」とか掠れた声が聞こえてくる。
いい気分だった俺は珍しく親切心を出してしまった。「だいじょうぶかぁ?」と酔っ払い特有の間延びした声で呼びかける。街灯に照らされた女子高生がキッ、と鋭い目で俺を睨みつけたが泣いているからその白い顔は随分と力なく感じる。まあ知らんおっさんに急に声をかけられた若い女の反応しては妥当なところだろう。
JKに絡まれたおっさんが鉄壁のガードで女子高生を撥ねのけるお話。折りたたむ>>続きをよむキーワード:
最終更新:2020-10-28 14:38:49
8442文字
会話率:57%
かつて、世界は私からアイツを奪った。これはひとえに私が未熟だったせいだ。だが、その時アイツは掠れた声でこういった。
「昇ろう。世界を美しく刻み付ける。先に行っていてくれ。時が来たらボクを迎えに来てくれ」
私はこのために生き続けてきた。
そして実現する。
異世界に召喚されることによって。魔王討伐はガキに任せる。
運命を乗り越えるために私は戦う。向かってこい、光よ、闇よ。
力が足りない。もっと、もっと私に力を……
必要なのは時と場所。それだけだ。
*土曜日20時投稿、筆が乗れば月水金のどこかで……折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-09-16 20:00:00
9088文字
会話率:21%
この世界には科学ではどうしても証明しきれない現象が多々ある。
その1つとしてこの物語で語られる【未知】という現象。
そんな曖昧模糊な現象に出会った人が、なんの因果関係か主人公の【神ヶ丘 昴】(かみがおか すばる)と出会い、残酷な現実に打
ちのめされそうになりながらも解決へと向かうという物語。
【未知】は未だ知らずと書いて未知。
知られたものは未知ではない。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-12-12 15:46:44
3643文字
会話率:17%
男の弾丸は容赦無く無法者達の身体を貫いた。
牧師だった男は自らが気付く間も無く倒れ臥した。
でぶの男は銃を抜く前に撃ち抜かれた。
痩せぎすの青年は呆然と佇み、そのまま凶弾に倒れる。
小男は逃げようと背中を見せた。そのまま撃たれ死んだ。
最後に残った青年は諦めたように膝をついた。掠れた声では青年は男に零す。
「おれに、賞金、付いてるんだな。」
「ああ」
男は額につけていた銃を下ろす。もう戦意は感じられない。聞くだけ聞いて殺すか。
「そうか、…ヒューイに、悪い事しちまったな…」
__ずっと騙しちまってたから、
町の友人の名前らしい。男には関係のない事だった。
「もう抵抗しねえから。潔く殺してくれ。」
きっと此奴は真面目な奴だったのだろう。だからこそ堕ち、だからこそ殺される。
普通に行きていたら、きっと幸せだっただろうに。
男は考えを振り払う。余計な詮索はするべきじゃない。
下手な同情はするべきじゃない。
ゆっくりと目を瞑り、男は引き金を弾いた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-11-08 21:34:02
1343文字
会話率:41%
誰だと儂が声をかける。返事なんてあるはずがない。
最終更新:2015-11-01 00:00:00
456文字
会話率:52%
死体に刺さり血に濡れた剣を取るのは躊躇われた少年は、残骸の中から鈍く光るナイフを見付け、手に取った。
赤い液体の中に横たわる両親と、争った末に倒された敵国の略奪者が視界の端に映る。
己がそうなるかも知れない怯えから来る震えで、構えたナイフの
切っ先も定まらない。
少年の家の前で靴音が止まる。
音の持ち主が略奪者に壊され半開きになった扉を蹴り開け入って来た途端、少年は駆け出しナイフを振り下ろした。
腹を目掛けた筈が、逸れて太股に突き刺さる。
侵入者は刺さるナイフを気に止めず、ナイフを震える手で握り締めたまま固まっている少年を抱き寄せた。
「……ッ。」
驚きに身じろいだ少年を離さず、
「すまない。私がもっと早く戦いを終結させられていれば、敵を国に侵攻させる事も無く、君に両親を失わせずに済んだ。本当に…すまない。」
後悔の念で掠れた声で謝罪を述べたのは、この国の、
「…女王、様。」
少年が涙で歪む視線を上げた先には、泥や血に塗れようとも美しい顔に悲しみを湛え、眉根を寄せながら唇を噛み締め、潤んだ蜜色の瞳から雫を零すまいと気丈に振る舞う女王の姿。
涙の代わりか、太股に刺さるナイフを伝い、血が流れ落ちた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-12-25 00:34:21
5535文字
会話率:53%
花火大会に勇気を振り絞って誘った女の子の話。百合注意。
ツイッターのなんちゃら診断というやつの「掠れた声」「感動詞禁止」「夕焼け描写必須」の縛りプレイで書いております。
最終更新:2014-07-26 10:03:11
1489文字
会話率:20%