人生には三つの坂があるという。上り坂、下り坂、そして――「まさか」だ。
そして今、樋口 彰(ひぐち・あきら)、三十八歳。俺はまさに、その“まさか”に突き落とされていた。
「おめでとうございます!同期の佐々木くん、ついに結婚決まったんです
って!」
朝の会議前、明るく報告してきた後輩女子社員の声を、俺は虚ろな笑顔で聞き流した。
「あ、そうなんだ。……へえ」
口元がひきつる。心なしか、視界がぼやけた。
――おい待て。佐々木って……俺と同じ三十八歳の、あの佐々木か?
口数少ないくせに仕事だけは妙にできて、部長の覚えがいいあの佐々木? あいつが先に結婚って、どういう冗談だよ。
数時間後。俺はトイレの個室で膝を抱えながら天井を見つめていた。
「……俺、このまま独身で死ぬんじゃないか?」
学生時代、大学の演劇サークルでちょっとだけ付き合った彼女。それ以来、まともな交際はない。
仕事に追われ、気づけば社内も男ばかりの技術部に配属され、周囲の女性は皆、既婚か二十代。
恋愛経験は限りなくゼロに近いというのに、年齢だけは順調にアラフォーへ一直線だ。
そんな俺が、ついに決意した。
結婚相談所での活動や、相談所へ登録した途端にプライベートで出会う女性達とのドタバタラブコメディ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-26 13:30:00
29274文字
会話率:35%
魔法が使える世界【プリオール】の中でも特に魔法の研究や教育が盛んな国、【アクティアハート王国】最大の教育機関【ヴィスタドール魔法学院】には歴代最高の優等生と落ちこぼれが存在している―――――――――――――――――――――――らしい。そして
、その落ちこぼれの正体はなんと、王女様!?
魔力(だけ)チートの落ちこぼれ王女さまが一人前に魔法が使えるようになるまでの、修行の日々を綴っていきます。・・・多分。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-06-20 22:01:26
142317文字
会話率:59%