オランダ船の下っ端乗組員ハンスは、ドクトルシーボルトの命を受け硫黄島へお使いに行く。
本来、出島のオランダ人は、島から出るのは御法度だ。もしも掟破りがばれれば〝サムライに斬られる〟とハンスは怯える。
約束の七日間の間に、平佐田たる人物から、
海底の皇子についての情報を貰って戻るというのがハンスに課せられた仕事である。お礼にドクトルはオランダに帰った折には、ハンスの病の母を診てくれると約束した。優秀な医者であるシーボルトに診てもらえればきっと、母ちゃんの病はなおると仕事を引き受けたハンスだが、ドクトルが言うように簡単にはいかない。おかしな子供に懐かれたハンスは、ドクトルとの約束を果たせずに迎えの舟に乗る。
一方、異国人ハンスを〝居王様〟と信じた智次は、ハンスにくっついて出島へと渡った。困ったのはシーボルトである。
内々に硫黄島へハンスを出しただけでも大事であるのに、島の子供まで連れてきてしまったのである。
ところがこの子供が、海底の皇子の話を知っていると知り、シーボルトは大いに興味を覚える。
神様に召されたと覚悟を決めた平佐田は御館家で目を覚ました。琉球国の密偵、那医とともに、神隠しの犯人捕獲に協力することになる。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-12-13 22:23:07
55631文字
会話率:19%
平佐田が島を去って五年、神隠し騒ぎも落ち着き、島は平穏を取り戻していた。
神隠しの時子とともに現れた二人の子供も、島の子に交じって道場に通っている。
安仁と言徳ー出自不明の二人の子供を、神隠しの子と、気味悪く思う者もいる。
御館様はこのたび
、御館家の氏神様とも言える黒御子様が、島神様に拝謁する祭りを計画した。島人から印象の悪い黒御子様を、子供の神様として島神様に格上げする祭りである。
島野子供たちの中から、島男七人衆と呼ばれる子供が選ばれ、祭りを盛り上げる。その中には、謎の子供、安仁も含まれる。
攫われた平佐田の子供の行方、お館様の計画、那医の苦悶……神様は全てお見通しです。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-29 15:51:48
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会話率:24%
弔いに行った平佐田は再び、御館様に出くわす。滋子は、御館様から姿を隠そうとして、平佐田の前にしゃがみ込んだ。子供らの話から、滋子は御館様の許婚だと知って平佐田は気落ちする。
ところが、滋子には御館家へと嫁ぐ気持ちはなく、医者の助手になるため
、平佐田に薬草の教授を依頼する。
急に道場が始まることになり、平佐田は島の役人、吉野から、守女について教えられる。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-06-12 21:00:00
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会話率:28%