鳥羽院の中宮である待賢門院に仕える歌人の堀河は、ある夜奇妙な男を拾ってしまう。何者かに追われ重傷を負った男を、仕方なく御所の自分の局にかくまう羽目に陥った堀河。しかし、やがて彼女は疑念を抱き始める。この男は果たして人間なのか。それとも……。
※この作品はブログ『佐遊李葉』にて連載済ですが、小説の置き場を統一するために、こちらで再度連載しています。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-11-04 15:32:16
123897文字
会話率:25%
平安時代後期の宮中でめったに起きないことが出来しました。北面の武士佐藤義清と、彼とは身分違いにあたる、さる上臈の女房との間に立った噂話です。上臈の女房が誰であったかは史書に記されていませんが、一説ではそれが中宮璋子であったことが根強く論じ
られています。もし事実であったならまさにそれはあり得べからざる事態となるわけで、それを称して阿漕の浦の事態という代名詞までもが付けられているようです。本来阿漕の浦とは伊勢の国の漁師で阿漕という名の男が、御所ご用達の漁場で禁漁を犯したことを云うのです。空前絶後とも云うべきそれは大それた事、罪でしたので、以後めったに起きないことの例えとして阿漕の浦が使われるようになりました。さてでは話を戻して冒頭の、こちらの阿漕の浦の方ですが仮にこれが事実であったとしたら、そこから推考し論ずべき点が多々あるようにも私の目には写りました。もの書き、小説家としての目からということですが、ではそれはなぜかと云うに、中宮璋子の置かれた数奇な運命と方やの佐藤義清、のちの西行法師の人格と生き様からして、単に御法度の恋と云うだけでは済まされない、万人にとって大事で普遍的な課題があると、そう着目したからです。さらにはこの身分違いの恋を神仏と人間との間のそれにさえ類推してみました。ですから、もちろんこの物語は史実ではなく想像の、架空のものであることを始めに言明しておかねばなりません。具体的な展開、あらすじについてはどうぞ本編へとそのままお入りください。筋を云うにはあまりにも推論的な要素が多いからですが、その正誤についてはどうぞ各々でなさってみてください。ただ異世界における、あたかも歌舞伎の舞台に見るような大仕掛けがあることは申し添えておきます。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-05-11 21:27:26
20108文字
会話率:28%
日本ホムンクルス協会は西暦2030年に作られた組織である。
多くの支援を賜り、科学的なアプローチにより5年後の2035年にホムンクルス第一号を完成させた。
ただし倫理的問題ならびに諸権利をどのように設定するかで政府との軋轢を生み、一度は
解散に追い込まれた。ただし東京医科技術開発院において継続して研究は行われ、2年後の2037年に第二号となるホムンクルス”太陽”が完成。明けて2038年にはおよそ2500年~3000年前の遺骨からDNAもしくはRNAを抽出できさえすればホムンクルスを作ることのできる技術が開発された。それも記憶を保持したままである。
そこで政府は歴史研究に有用だということで一部制限の上でホムンクルス製作を許し、ホムンクルス第三号として平安末期生まれの人物が選ばれた。諸資料によるとこの人物は日本史上におけるホムンクルス製作の先駆けとされ、撰集抄という古文書に記されている。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-08-04 14:17:12
3830文字
会話率:50%