天正十三年、日の本を突如襲った巨大地震によって、飛州白川帰雲城は山津波に呑まれ、大名内ヶ島家は一夜にして滅びた。家老山下時慶の子・半三郎氏勝は荻町城にあり難を逃れたが、主家金森家の裏切りによって父を殺され、自身も雪の中に姿を消す。
そして時
は流れて天正十八年、半三郎の身は伊豆国・山中城、太閤秀吉による北条征伐の陣中にあった。心に乾いた風の吹き抜ける荒野を抱えたまま。おのれが何のために生きているのかもわからぬまま。その道行きの先に運命の出会いと、波乱に満ちた生涯が待ち受けていることなど露とも知らずに。
家康の九男・義直の傅役(もりやく)として辣腕を揮い、尾張徳川家二百六十年の礎を築いた男、山下大和守氏勝。歴史に埋もれた哀しき才人の、煌めくばかりに幸福な生涯。
(アルファポリスにて公開したものを、加筆修正しています)折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-01-14 20:29:20
218574文字
会話率:50%
江戸時代中期。尾張徳川家第7代当主にして名古屋藩第7代藩主、徳川 宗春。城下町で出会った「いく」との泡沫の時間。しゃぼんの恋。
最終更新:2022-10-18 19:21:48
1058文字
会話率:62%
時は元文二年三月十日(一七三七年四月九日)の江戸。ここに、虎之助と名乗る一人の男がいる。
虎之助は回向院にある卵から生まれた卵生人間である。卵から生まれた虎之助にはいっぱしの知識があるが名前がない。回向院の住職の円空に虎之助と名前をもら
い、口入屋を行なうことで、大勢の人を救えと命じられる。
よくわからないながらも、薬屋の隠居に引き取られ江戸で暮らす。だが、この江戸には尾張徳川家の屋敷の地下に地下御殿と呼ばれる妖怪が出る広大な妖怪の町の入口があった。
虎之助は地下御殿と江戸の町を行きつ、帰りつ、時には騙し、時には騙され、江戸の町と妖怪を救う。(NOVEL DAYSにも投稿中)
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-02-15 20:00:00
117831文字
会話率:47%