陶芸工房「翡翠堂」には奇妙な者たちが訪れる。
以前の持ち主の幽霊。恋に臆病な河童。寺の跡取り娘で嫉妬深いサンショウウオと、妖小僧たち。
翡翠堂の主、宮地圭介が一目惚れをした華奢でうつくしい女の正体は、桜の樹に宿る蛾の妖であった。
「
夏の間しか、わたしは貴方の側にいられない。それでも貴方は、わたしを必要としてくれるの? 後悔しないの?」
オオミズアオは宮地へ問いかける。
「俺の人生丸ごとお前にくれてやる」
宮地のまっすぐで無骨な愛情が、かたくなだったオオミズアオの心をとかしていく。一生を共に過ごそうと誓いあったふたりの行く末は……
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本作は角川『野性時代フロンティア文学賞』一次通過作を加筆修正したものです。
第六回ネット小説大賞2次通過作。
※三部作となっています。
『こいし恋しと夜になく』(光文社/小説宝石新人賞一次通過作)河童の恋物語。
『ひえた毒』(第六回ネット小説大賞一次通過作)宮地の弟弟子であるコーへーくんの歪んだ恋愛物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-04-23 23:00:00
83277文字
会話率:29%
「まるで恋心のようではありませんか」
わたしの耳元で河童がささやく。河童の茶髪の頭に皿はない。背に甲羅もない。今日も今日とてイケメンに変化しているので、始末に悪い。感じの良いイケメン河童とわたしとの、もだもだした大人の恋愛模様。無断転載禁
止。無断複製禁止。
「翡翠堂じゅんじょう奇譚」「ひえた毒」と、三部作のひとつとなります。独立した物語りとしても読めます。
小説宝石新人賞999作品中35作まで残りました。上位3.5%まではいりましたが、最終候補落ちとなりました。同じく小説宝石新人賞一次通過作で「荒れ地に立つ蛇」があります。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-06-17 08:21:46
26206文字
会話率:35%