陶芸工房「翡翠堂」には奇妙な者たちが訪れる。
以前の持ち主の幽霊。恋に臆病な河童。寺の跡取り娘で嫉妬深いサンショウウオと、妖小僧たち。
翡翠堂の主、宮地圭介が一目惚れをした華奢でうつくしい女の正体は、桜の樹に宿る蛾の妖であった。
「
夏の間しか、わたしは貴方の側にいられない。それでも貴方は、わたしを必要としてくれるの? 後悔しないの?」
オオミズアオは宮地へ問いかける。
「俺の人生丸ごとお前にくれてやる」
宮地のまっすぐで無骨な愛情が、かたくなだったオオミズアオの心をとかしていく。一生を共に過ごそうと誓いあったふたりの行く末は……
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本作は角川『野性時代フロンティア文学賞』一次通過作を加筆修正したものです。
第六回ネット小説大賞2次通過作。
※三部作となっています。
『こいし恋しと夜になく』(光文社/小説宝石新人賞一次通過作)河童の恋物語。
『ひえた毒』(第六回ネット小説大賞一次通過作)宮地の弟弟子であるコーへーくんの歪んだ恋愛物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-04-23 23:00:00
83277文字
会話率:29%
温暖化が進み、海抜が5m上昇した西暦2030年の地球。
環境省から突然、出向の辞令を受けた坂本菜穗子は、憂鬱な気持ちで異動先に向かった。彼女の出向先、そこは「温暖化対策委員会 緊急対応室」。
異動初日、出勤してみると、部内は殺気立ってる。環
境テロリストによる犯行予告があり、その日の正午に足立区千住西地区の堤防を爆破するという。菜穗子は自身の挨拶も満足にできないまま、緊急事態に直面する。
※第6回野性時代フロンティア文学賞に応募、落選した作品です。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-03-17 11:15:55
60014文字
会話率:49%