雪の降る寒い世界で、キリアは生まれた。
母の愛を知らず、姉妹の中でただの「余りもの」として扱われた彼女は、いつしか感情を押し殺し、ただ生きるために餌を探すだけの存在になっていた。
ある日、彼女は青年と出会う。
彼は他の人間と違った。
餌を
投げ与えることもなく、馴れ馴れしく触れることもない。ただ静かに、優しく見つめるだけだった。
青年はキリアの瞳の色を見て名前を呼んだ。
けれど、キリアは応じなかった。
それは、名を持つことに慣れていなかったからかもしれないし、あるいは、彼のその呼びかけがあまりにも優しく、心に触れるのが怖かったからかもしれない。
青年は何も求めなかった。
ただ、いつもそこにいて、キリアが来るのを待っていた。
どんなに遅くても、どんなに寒くても、決して彼はキリアを置いていかなかった。
キリアはそんな青年の存在に少しずつ心を許していく。
彼は自分の食べ物すら分け与え、キリアの小さな爪の傷にも怒ることなく、ただ受け入れ続けた。
それは、キリアが今まで知らなかった「無償の愛」だった。
ほんの数日間、キリアは青年と共に過ごした。
彼の温もりに触れ、孤独ではない時間を知った。
しかし、それでも彼の差し出す手を取ることはできなかった。
キリアには、母がいた。餌を持ち帰らなければならなかった。
彼女は、愛を選ぶことができない存在だったのだ。
春が訪れ、キリアは青年の元を離れた。
けれど、心のどこかで願っていた。
「いつか、また会えるだろうか」
しかし、現実は容赦なかった。
体は弱り、心も限界を迎え、ついには歩くことすらままならなくなった。
それでも最後の力を振り絞り、キリアは青年の元へ向かった。
彼の姿を探し、ただ、一目でも会いたいと願いながら——。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-11 10:08:42
7820文字
会話率:5%
幼いころから妖怪が見える、と言ってはいけませんでした――――。
小春は、両親が望んだ普通を望む。
小春という少女は、寒い世界で息を吐く。
でも、視線を少しだけ上げたら。また、強く手を握りしめたら。
あなたがいる。あなたが笑う。あなたが手を招
く。
こっちへおいで、と、現実とは異なる幽世へ行こう、と。
あなたを探している。
雪の世界で。あなた、貴女、あなたを……。
――――
1月6-7日より連載を開始します。
立花みかんから残酷描写を取り上げたら少女小説が書けるんじゃないか説、を
検証するために書くことにしました。
挿絵は全て『とまと(@tmtn1009)』が作成しております。無断転載・使用は固くお断りいたします。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-12-08 17:14:25
56770文字
会話率:42%
【おい!この暗くて寒い世界には何が必要だと思う?そう、アイドル!】
『私』ことメロディアは森に引きこもりNEETかつ魔女少女。色々あって魔女的根性焼きにかけられ、ふんわり異世界転生みたいな感じになってしまった。スラムのプリンセスと化し虫とカ
ラスとネズミと歌いながらのんびり暮らす日々。
『…のんびりもいいけど、推しがほしい!』
なんだかんだでアイドルをプロデュースすることになるけど…エッ勇者や国王がライバル!?そんなぁ!とりあえずダンスバトルせん??てかチュニックいいね!どこ産?
アイドル育成!キラキラ音楽普及!ええっ!?この世界ではキラキラ音楽、不協和音なの!?どうしよう!ていうかシンセサイザーはどうやって再現するの〜!?
という感じのノリで書くライトノベルです。たまに投稿済みのも書き換えます
あたまからっぽにしてよんでね!※雑な挿絵あり折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-10-03 18:43:32
29584文字
会話率:56%
季節の塔に四季の女王が交代で入る事で季節が廻る世界。
「今年の冬は長い・・・。いったい、いつまで続くのだろう?。」
重い鉛色の空を見上げて宿無しの男はつぶやき、とぼとぼと街を歩いて行きます。
街の家々では、住人が夏のような薄着でくつろぐいで
います。
王様のお触れを見て、冬を終わらせるべく季節の塔へと向かった男が冬の女王に聞かされた、冬を終わらせる条件とは・・・!?。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-12-16 10:00:00
5060文字
会話率:24%
心象風景。少し薄ら寒い世界へあなたを誘います。
最終更新:2009-10-23 21:56:08
298文字
会話率:0%