私がこの作品を創り上げていく上で、おぼろげながら抱いているイメージはある一人の女性をどう血肉化するかにある。要するに大地を離れずに如何にして独立した個人を表現するかである。もちろん、これでは何のことやらさっぱり分からないだろうが、正直私にも
分からないのだ。というのもこれから何が出来るのかそのこと自体がまったく分からないからである。そういうわけで、あらすじどころかあらすじらしきものすら思い描けないのである。まったくもって呆れ果てたことではあるが、それが実情である。しかし、あえて理屈めいたことを言わせていただけるのなら、それはわれわれが日々生きることとある意味同じであるということではないだろうか。つまり明日の自分がどうなっているのかおそらく誰にも分からないということだ。人生のあらすじはすべてが終わってから判明するしかないのだから。要するに創作も同じことで、一行先にどんなことが描かれるのか前もって分からないということである。もちろん、これは決していい加減な気持ちで書いているわけではないことは小説を書いたことがある人ならきっと分かっていただけるものと私は信じている。というわけで、弁解染みたことはこれくらいにしてさっそく本文に取り掛かろうと思う。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-14 17:02:05
673293文字
会話率:63%
この物語は、ある青年の人生の門出に立ち塞がっていた問題、すなわち生きる意味という、つまり、ある時ふと気づいたらこの世に生まれ落ちていて、何のことやら分からぬまま生きることを強いられて苦悩するという、要するに、誰もが避けては通れぬが、それでい
て、まるで気にもされないという実に厄介で困った問題に巻き込まれて行くというお話しです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2017-06-24 19:10:10
169783文字
会話率:34%