高校卒業を一ヶ月後に控えているチビで間抜けな官介は、未だ進路も決まらない。
担任の稲盛には、顔を会わせる度に暴言を浴びせられ、自暴自棄になっていた。
ある日の帰宅途中の駅で、普段と違う乗客の居ない異様な様子に気づきつつも、無音で到着した
電車に乗り込む。
そこに、突然奇抜な容姿の女が現れ、初対面の官介に対し、優柔不断な内面を的中させた暴言と暴力的な行為を次々と浴びせ掛ける。
怒りを爆発させる官介に、女は突然「お前にバトンを渡す」と言い、不思議な玉を授ける。
その玉は、MIRAKUへのパスポートであり、本人の意思を無視して勝手な誘導をする奇妙な玉だった。
電車が発車すると同時に玉は巨大化し、官介が逃げられない様に座席に釘付けにしてしまう。
気を失った官介が目覚めると、見た事もないのどかな田園が広がる小さな町、MIRAKUに到着していた。
そのMIRAKUこそ、招かれた者の意思に関係無く厳しく自己変革を要求するお節介な町だった。
官介に与えられた期限は三日間。
その期限内にMIRAKUの町民が認める人格者に成長を果たせなければ、存在を抹消され、誰の記憶からも削除されるという。
だが官介は、全てドッキリの特番に巻き込まれていると思い込む。
焼き肉屋「味楽」では、年齢無差別のチーム対抗の大食い試合をさせられ、女子相撲クラブの小学生三人とチームを組まされ大負けをする。
ペナルティーで参加者全員の焼き肉代金を支払う羽目になり、拒否をすると、さらなるペナルティーとして、短時間で稲が実る不思議な田んぼの田植えから稲刈りを要求される。
永遠に終わりの来ない農作業は、心身共に官介を追い詰めて行く。
ボロボロになった体で朦朧となる中、生まれてこれまでの己の生き様を回想させられる。
官介の腹違いの姉麗亜は、学校創立以来の天才美女と歌われ、伝説になっていた。
麗亜に嫉妬していた官介は、影では麗亜の誹謗中傷を繰り返していた。
そんな、腐れ切った自分の姿に改めて気付かされ愕然とするが、中々自分の非を素直に認められず葛藤を繰り返す。
刻々と迫るタイムリミット。
果たして、期限内にMIRAKU駅のホームで復活の宣言をする事が出来るのか……
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-03-11 07:00:00
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