これは、勇者に育てられた少年の英雄譚。
そして、勇者と呼ばれた女の、復讐と贖罪の物語。
十年ほど前のこと。近隣にダンジョンがあるため迷宮都市と呼ばれるリンゲックの町に、勇者の異名を持つ女冒険者がいた。彼女は桜のエンブレムから「桜花(おうか
)の剣士」とも、また孤児の少年を養子として育てていたことから「子連れ勇者」とも呼ばれていた。
そんな勇者は数々の活躍ののち、王国に仕えるでもなく、誰かに嫁ぐでもなく、息子と一緒に田舎で暮らすため去っていった。
数年後……
リンゲックに、桜のエンブレムの剣士が現れた。勇者が育てていた幼児が、たくましき若武者となって帰ってきたのである。
母直伝の剣技、圧倒的な強さ。周囲が放っておくわけがない。少年の周りには、冒険者から王族までがそれぞれの思いを抱いて集い、彼もまた、それに応えるかのように無双してゆく。
やがて運命の歯車は動きだす。王位をめぐる内乱、そして魔王の影。自分の出生の秘密、そして勇者である母の過去を知ったとき、少年はいかなる決断を下すのか……
【追記】
物語の舞台は迷宮都市と呼ばれていますが、バトルが中心でダンジョンの描写は少ないものになると思います。動画配信やステータスオープン、ゲーム的な意味でのスキルはありません。なお、別作品の短編集「元ギルドマスターの手記」と同一世界、同一時間軸のお話です。両方に登場する人物が複数います。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-18 19:25:22
251864文字
会話率:43%
配達の仕事を終え、夕飯を食べに行きつけの酒場へ行く。そこで、ひょんなことから仲良くなった子連れの大男クレオに、娘マナの面倒を頼まれる。何でも、街の近くに鬼が集まっていると噂があり、調査に行くとのこと。
子守りの報酬の良さと、鬼退治に間接的と
はいえ関われるという非現実感に興奮を覚えた主人公ヤマダ・タロウは、大男の頼みを承諾する。
調査当日。街の出入口となっている大門で、タロウとマナは、元気にクレオを送り出す。しかし、その数刻後に街へやって来た早馬の伝令に、タロウは後悔する。
「勇者は、決して倒れないから光なんだよ」
鬼の集団を調査に出たクレオの運命は。
早馬の伝令に後悔を覚えた太郎の選択は。
果たして、クレオとマナの正体は。
子連れの大男との出会いから、ただの街人だった少年の運命が動き出す。時に熱く、時に切ないハートフルハイファンタジー!
こうご期待!!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-01-15 00:00:00
10030文字
会話率:50%