あなたは、「運命」という言葉を信じますか?
仮にその「運命」が、幸・不幸どっちであっても…。
涙が枯れ果てた時、後ろを振り返ると、沢山の素敵な思い出達が手を振っていた。
あの人の分まで「生きよう」。
あの人の分まで「幸せになろう」。
この小説は、天国から見守ってくれている「君」と、あの頃共に泣き、笑い、どんな時も全力で走り切った6人の軌跡である。
高校時代、成績が常にトップクラスの主人公ケイタ。部活は3年間陸上部に所属し、毎大会ごとに地区大会や全国大会出場に向け、まっしぐらに努力していた。文武両道で真面目に送った高校生活だが、恋愛面では下手くそで奥手な男だった。高校生活で付き合った女性は1人のみ。その上付き合っても長続きはせず、ほろ苦い思い出だけが残っていた。
そんなケイタが高校を卒業し、大学へと進学したのだが、初めての一人暮らしはケイタの人間性を180度変えてしまった。
目に映り込む景色は新鮮なものばかり、酒、タバコ、麻雀をはじめ、ギャンブルは当然の事、そして風俗やお水の世界までに味をしめてしまった。
自分を縛りつけ、努力をする事で成果が得られると信じきっていたケイタは、真面目な高校生活の反動もあってか「ダメ人間」に到達するのは早かった。人生、上り詰めるのは困難だが、堕落するのはいとも簡単なことであり、負のドミノ倒しはどこまでも続いていくような気がした。
「あの季節が無ければ…。」
「この木の存在に気付かなければ…。」
「あの頃の6人と出会わなければ…。」
「そして、君と出会わなければ…。」
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2016-03-29 14:52:23
73551文字
会話率:36%