あれは夢か幻か誠か。あの夢のような女の子が僕の前に現れて来て、ひと時を君を思いながら生きていた。
残業を終え、新宿駅の改札口を降りた瞬間、小学生よりはちょっと歳が上な中学生のような女の子が目をぐるぐるとこちらに向け、凝視してきた。
その女の
子。幸か不幸か悩ましい目つきで僕を通り過ぎるまで見つめていた。
僕は通り過ぎた後、振り返った。彼女はいなかった。人混みの中に消えていった。
僕は何をしていた?時期分かるだろう。
それからだ。僕の何とも言えぬ妄想が始まったのは――。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-08-31 12:39:52
2318文字
会話率:22%
オオカミは嘘つきである。
そんなこと小学生でも知っているはずのことなのに、綿貫佑芽は一切嘘を吐かないオオカミ少女に出会ってしまう。
しかも彼女は、佑芽に比べて一回りも年下の女子中学生であった。
彼女よりも一生を添い遂げてくれる運命
の相手が欲しい。
そんな戯言をのたまっていたところに現れたオオカミ少女は、佑芽のことが好きだと告白してくる。
なんでも、バスケをする姿に一目惚れをしたらしい。
ただ、オオカミは嘘つきだという常識を持つ佑芽にとって、それは嘘偽り以外の何物にも見えなかった。
オオカミ少女の真意を探るべく、なし崩し的に彼女を居候させることになった佑芽。
しかしそれは、佑芽が無理やり止めていた青春の歯車をゆっくりとまわすことになっていき――――?
ありふれた世界の中のありふれた日常で、タヌキとオオカミの嘘と偽りのおとぎ話が始まる。
これは私の母が不倫された事をインスピレーションに生まれた大人と子供の恋愛観を巡る青春小説である。
『人は恋愛によっても、みたされることはないのである。
何度、恋をしたところで、そのつまらなさが分る外には偉くなるということもなさそうだ。
むしろその愚劣さによって常に裏切られるばかりであろう。
そのくせ、恋なしに、人生は成りたたぬ。所詮人生がバカげたものなのだから、恋愛がバカげていても、恋愛のひけめになるところもない。
バカは死ななきゃ治らない、というが、われわれの愚かな一生において、バカは最も尊いものであることも、また、銘記しなければならない』
――坂口安吾折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-07-25 20:09:28
115214文字
会話率:29%