どおん、どおん、と体を芯から揺すられるような花火の音。
賑やかな花火大会の様子を少し遠くの公園から観察しながら、俺は「はぁ」とため息を吐く。
恋人同士、一緒に来るはずだった彼女は、なぜか俺の隣にいない。
ぴろん、と通知音が鳴った。
アドレス交換をして以降、声に出して読むと恥ずかしくなるような甘いやり取りばかりを繰り返していたチャットアプリのメッセージだ。どんな内容が送られてきたかと見てみれば、そこに表示されていたのは――。
『
』
ただの空欄だった。
※『花火』『空欄』『死体』の三つの語句をテーマとし、小説を書くという企画に提出した作品をそのまま掲載したものです。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-08-24 19:52:17
1200文字
会話率:9%
そこは、仮想世界を住処にする人類たちの、夢と欲望の掃き溜め……
カーレースと動画配信サービスを組み合わせた決闘型娯楽競技【ヴェロシック】は、荒廃した現実世界を舞台に「好きなことで生きていく」を信条に戦い続ける受肉者たちで溢れかえっている。そ
していま、【ヴェロシック】でひとつの決闘が始まろうとしていた。親ガチャレアリティSSSRの受肉者「ベイプマン」と、今ではオワコンの元・極限炎上系ロートル受肉者「もぐら・くまお」の、金と権力と女を巡る俗悪でリリカルな戦いが。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-23 21:00:00
8545文字
会話率:17%
「CHITKU・CHETKI」
むかしむかし、あるところにおひめさまがおりました。
おひめさまはとてもあいらしく、くるくるとまかれたくりいろのかみはうつくしく。
はだはシルクのようにすべすべとしていて、はっぱのようにすんだみどりのひとみ
はできれば、ほうせきばこにしまっておきたいような
それは
それは
きれいなおめめでした。
おひめさまのおへやはとてもふかふかしたじゅうたんがひいてありました。
ふむのがもったいないくらいのまっかできれいなじゅうたんでした。
それだけではありません。
おんなのこならいちどはゆめみるてんがいつきのベッド
ビーナスがほほえんでいるちょうこくのかがみ
いろんなほうせきやリボンがついたドレスがなんびゃくちゃくもしまってあるクローゼット。おひめさまがほしいものはなんだっててにはいりました。
めずらしいとりのはね
がいこくからとりよせたこうすい
まちでみかけたおんなのこがもっていたおかし
おひめさまはとてもあいらしく、そしてまたとてもあいされて、たのしいまいにちをくらしておりました。
おひめさまにはうまれたときからじいやがおりました。
おかあさんのじょうおうさま
おとうさんのおうさま
ふたりはとてもいそがしかったので、じいやがおひめさまのおせわをしていたのです。
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※平仮名で、に声に出して読む童話。
少しダークファンタジーです。孤独なお姫様がじいやに聞いた空想の怪物に心奪われる話です。
大人の童話を目指しました。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-04-28 18:49:10
10468文字
会話率:19%
【完結済み】
森でお昼寝をしていたポン吉は、見知らぬ町で目がさめます。すると体は、なんと人間の男の子になっていました。どうしてだろう? しかも何だか魔法が使えるみたい。
町で出会ったひげ面のおじさんや、森で出会うエルフの女の子。『ピコーン
』という音がして、光る文字が浮かぶけれど、ポン吉はたぬきなので文字が読めません。これからどうなっちゃうんだろう。
……ううん、それよりもおなかが空いたなあ。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-12-29 10:22:56
12730文字
会話率:51%