空に大きな鷹が飛ぶ。
その背に乗る少女――肩に天秤の刺繍を飾る会計官・ラウは、じっと地平の果てを見つめていた。
その地のヌシとも呼ばれる、大陸をはばかる巨大な獣〈ダイアクラス〉。
古代から存在する翼竜・ワイバーンを使役する帝国は、今も各地
を進攻・侵略を続けている。
これに立ち向かえるのはダイアホークのみ――七歳だったラウは、そのヒナと友達になったことを理由に、国から軍属せよと命じられてしまう。
だが……これはラウの天命だった。
訓練場を訪れていた商業都市の会計官と出会うと、その才知を活かせと会計を学ぶことに。
そしてなんと十二歳にして、会計官の最高位を意味する〈金色の天秤〉の称号を与えられたのである。
「王は言う。『神のみが与を裁く』、と」
「なれば帳簿は神の宣告なり。会計は決して嘘を告げず、人の手のみ嘘を書く」
才覚を見いだし、智慧を授けてくれた師の教えを胸に。
戦場に蔓延る不正会計を暴くため、ラウは前線に出る会計官として大空へと飛び立つのだった。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-06-28 22:07:52
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