「千歳夏帆」はいつものように由比ガ浜の浜辺で海の絵を描いていた。
彼女にとって、絵は自分自身そのものであったはずだった。
4月の鎌倉の春祭りの季節、夏帆は年下の青年「三澄海斗」と出会う。
夏帆は海斗と出会いを重ねるたびに、好意を寄せながら
も、自分の弱さや情けなさが浮き彫りとなり、彼を好きであるはずなのに避けてしまうようになっていった。
季節は夏となり、夏帆は海斗の家族と海へ出かけた。
だが、不幸にも、彼は溺れた子供を助けたが、それと引き換えに溺れてしまい、意識不明の昏睡状態となってしまった。
夏帆はパニックになったが、その時、彼のお母さんが一枚の絵葉書を夏帆に見せた。
それは夏帆が16年前、初めて描いた由比ガ浜の絵であった。
夏帆と海斗は惹かれ合うべくして、惹かれた関係であった。
そんな運命に翻弄される中で、彼は長い昏睡状態から目を覚ますが夏帆との記憶を全て失ってしまっていた―――
対照的な2人の成長とすれ違う恋心が行きかう行方が織りなす物語です。
儚げにも懸命に生きる画家と、生きるために波に乗るサーファーの成長の話になります。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-08-16 18:03:54
47853文字
会話率:17%