『それぞれの傷、それぞれの想いが交差する―――』
遠野悟が通う高校には有栖川 詩という美少女がいた。
金色の髪に、大きな青い瞳はどこかのお嬢様と思わせるほどの品格を放っていた。
皆は口を揃えて有栖川 詩を"アリス様"と
呼んだ。
悟はたまたま詩と一緒のクラスとなり、ちょうど彼の隣、窓際席にやってきた。
その横顔は美しく、悟は一瞬にして詩に一目惚れをし、恋をした。
そんなある日、悟は詩にノートを貸してくださいと話しかけられ、彼女に現代文のノートを貸し出す。そこから悟と詩は話すようになり、友達関係となっていた。
話すうちに、詩のいろいろな表情を知っていき、次第にその想いは強くなっていく。
その話の中で、詩には双子の妹の梓がいることを知った。
最初はそうなんだと受け流していたが、バイト終わりのある日、ゲームセンターのスロットコーナーで梓とばったりと出会うことになる。
だが、詩と悟が一緒に帰宅した際、先日のゲームセンターで梓と鉢合い、もみ合いとなって悟は頭を強打し怪我をしてしまった。
その謝罪にきた詩から、有栖川家で起きた6年前の事故のことを聞かされることになる。
その事故をきっかけに詩と梓は縺れた関係となり、今では梓は家出をしたまま家に帰らない非行少女となっていた。
悟は詩と梓の仲を修復するために奔走するが、彼は彼女らの壊れた家族の実情を目の当たりにする。
親の優しさ、兄弟の繋がり、幼馴染との友情、そして縺れ合う恋愛感情。
それぞれが傷を負い、痛みを背負いながらも、一歩ずつ成長していく姿を描いた恋愛作品となります。
全40話 10万文字の完結作品となります。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-02-03 12:00:00
102760文字
会話率:32%
修也と瑞葉は西朋高校の音楽科に所属していた。
修也と瑞葉は幼馴染であり、ともに音楽を学んだ仲でもある。
だが、才能とは非情なもので、瑞葉は天才ヴァイオリニストとして名を馳せていたが、修也のピアノはいまいち伸びることがなかった。
だが、瑞葉は
「自分の曲を弾きたい」という悩みから、修也はピアノをやめ、作曲を勉強するようになる。
高校2年生の梅雨が明けた夏の日、瑞葉は突然「ウユニ塩湖」に行きたいといい始めた。
高校生であった修也は「まだ無理だろう」と聞き流していた。
そして夏休みとなり、地元の夏祭り日。
瑞葉は交通事故に巻き込まれた。
車に同乗していた両親、そして弟は即死。彼女は右腕を失う大事故となってしまう。
修也は彼女を助けようとしたが、もはやそれが叶うことなく、彼女は術後すぐに病院の屋上から自殺してしまう。
修也はあまりのショックで、彼女のために書き上げた楽譜をすべてしまい込み、そして人生すらも塞ぎ込んでしまった。
それから3年が経ち、修也のアルバイトをするイタリアンレストランで、星宮という音大に通うピアニストと出会う―――
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2021-01-03 23:41:08
8594文字
会話率:24%
『雪月症』――それは雪と共に眠りにつく病気。またの名を『白雪姫症候群』
私が中学1年生の時、クラスに「白井 姫乃」という女の子が転校してきた。
東京から引っ越してきた彼女に、田舎町であったこの中学校の生徒は興味津々であったが、いつまでたっ
ても彼女に友達ができることはなかった。
隣の席に座っていた私は、彼女を気にかけ、話しかけた。
その日の帰り道、彼女に「なぜ東京からこんな田舎町にきたのか」と聞くと、父親が借金を背負い自殺し、母親が精神狂乱となり精神病院に入院したためだと答えた。
私は思わず同情してしまい、この田舎町で一番最初の彼女の友達になろうと決心する。
冬休みが明け、学校に登校すると、彼女は病欠で休みであった。
私は学校で渡されたプリントを渡しに彼女の家へと尋ねる。そこには美しく眠る彼女の姿があった。
そこから事態は急変する。
彼女はいつまでたっても起きることなく、その異変から病院で検査をしたところ、彼女は「雪月症」という原因不明の病気に罹ったことが判明する。
またの名を「白雪姫症候群」といった。
私はたまに目覚める彼女のために、何日も彼女の病室を訪ね、彼女の笑顔を見るために面白い話をし続けた。
そんなある日、寒冷前線の影響で大雪となり、私は病院に泊まることとなった。
そして、彼女と共に眠りについた時、私は不思議な夢をみた―――
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2020-12-29 05:52:29
9708文字
会話率:24%