人は死ねば終わるという。
だが、それを証明した者が、この世にいただろうか。
死は終わりか、救いか、それとも――始まりか。
宗像志貴にとって、「死」とは、他人事ではなかった。
*
黄泉使い――
死後に「問答」を受けられなかった魂を、
悪鬼化から救う者たち。
宗像志貴は、その中でも最も古き宗家の直系に生まれ、
右肩に“王の痣”を宿していた。
だが、術も矛も使えない。
誰よりも脆く、誰よりも危うい少女だった。
そんな彼女の前に、神の獣が現れる。
白銀の狼。
あらゆる術を凌駕する力を持ち、志貴の前にのみ姿を現す存在。
その声は、骨の奥を震わせ、痣を疼かせる。
――懐かしさと痛みを帯びた声。
「壊したいものがあるなら、壊せばええ。
でも、お前に手ェ出す奴は――俺が殺す」
志貴はまだ知らない。
けれど、どこかで知っている気がする。
忘れたくない誰かの匂い。届かない過去の温度。
そして、痣が語る――まだ触れていない真実。
*
これは、「千年王」と呼ばれた少女と、
その命を代償に炎を纏う宿命を背負った者たちの物語。
恋とも言えない。けれど、愛よりも重い執着が、そこにはある。
燃えるように美しく、
終わることすら許されない魂たちの軌跡。
『黙の月 ― 千年の孤独に咲いた紅』
どうか、この焔の奥に、触れてほしい。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-07-17 21:30:00
175995文字
会話率:22%
千年の孤独を抱く、少女神の物語。
悠久の時を生きる神、瑞葉(みずは)。
その見た目は十三、四の愛らしい少女。だが、彼女の瞳には、千年以上もの間、無数の人々の喜びと悲しみ、出会いと別れを見つめてきた深い叡智と、拭いきれない寂しさの色が宿って
いる。
自然発生的にこの世に生まれ落ち、とある古社の小さな祠に宿り続けて幾星霜。瑞葉は、訪れる人々のささやかな願いを、人知れず叶えてきた。その力は時に奇跡と呼ばれ、神社は「願いがよく叶う」と評判になることも。しかし、彼女自身が本当に願うのは、ただ一つ――誰かと心を通わせ、その温もりに触れること。
けれど、神であるが故に人とは異なる時を生き、あまりにも多くの別れを経験してきた瑞葉は、深く関わることを恐れ、一歩踏み出すことを躊躇してしまう。助けた相手とほんの少しでも触れ合いたいと願いながらも、その想いを胸の奥に押し込め、そっと背中を見送る日々。
これは、そんなさみしがり屋の神様・瑞葉が、様々な時代、様々な場所で出会う人々との、束の間の触れ合い、心のすれ違い、そして避けられない別れを、一話読み切りで綴っていく物語。
第一話『縁日の影、神様の吐息』では、現代の賑やかな神社の例大祭を舞台に、瑞葉が人知れず小さな奇跡を起こしながら、その胸に秘めた切ない想いを垣間見せる。
彼女の数千年の孤独は、いつか癒される日が来るのだろうか。
そして、彼女が本当に叶えたい「願い」とは――。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-05-27 18:10:00
23263文字
会話率:14%
月光に照らされた古城。人身御供として差し出された少女リリアーナと、千年の孤独を生きる吸血鬼アシュレイ。二人の出会いは、互いの運命を大きく変えていく。
リリアーナの中に眠る不思議な力。アシュレイの過去に隠された秘密。そして、二人を取り巻く
危険な陰謀。
永遠の命と引き換えに失うものとは? 人間として生きることの意味とは? 愛する者と共に生きるため、二人が下す決断とは――。
月の光の下で永遠の愛を誓う二人の物語が今、幕を開ける。
人間と吸血鬼の間に生まれた真実の愛は、世界を変える力となるのか。
運命に抗い、呪いを解く鍵を握る「運命の子」の選択が、全てを決する。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-10 17:00:00
27772文字
会話率:40%
(タイトルとあらすじ変えました)
呪われし力を持つ歪な者のハルト。ハルトは闇の知恵の守護者であるマンティコアのオウラと一緒に混沌王が統治する迷宮都市にやって来る。迷宮都市には秘宝の呪われた王冠がある。
ハルトの目的は王冠の呪いを解くこと
。王冠の呪いが消える時、ハルトは永遠の無へと帰る。
それでも、ハルトは危険なダンジョンに潜り、呪われた王冠の手懸りを求める。
襲い掛かる危険な罠、狡猾で強大な区域支配者。
死から遠い存在のハルトは、その強さで全ての脅威を切り抜ける。
これは、神への祈りが届かない、深淵で繰り広げられる迷宮の物語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-11-23 06:00:00
155017文字
会話率:35%
心の傷を抱えた女の子が堕ちていく様を書きたくて。
最終更新:2015-10-08 02:47:11
2062文字
会話率:16%
四神獣記外伝。預かり子を見る夜の寝屋、獏の獣人として生まれついた男の追想。人の夢を食み、千年を超え、常人とは異なる命の先に得たものとは。見てきた夢と収められなかった記憶の話。【中編】 ※自サイト「鳶の旋回軌道上」と同時掲載中。
最終更新:2015-09-14 20:24:08
57136文字
会話率:50%
十二月二十四日、夜。仕事から戻ると玄関に、絶世のイケメンが仁王立ちしていた。愛らしい連れの幼女が俺に恩返しを迫り――。
最終更新:2013-12-17 18:40:12
3698文字
会話率:20%