人類が築いた理想郷エデン――遺伝子操作と脳内インプラント、AI管理で疾病や犯罪をほぼ克服し、「完璧な世界」として讃えられている。しかし、その“美しい”社会の一方で、親の趣味やビジネスの都合で極端に改変された子どもたちが苦悩を抱え、外界バビロ
ンとの国交は長年断絶したままだ。
そんなエデンでデザイナーベビーとして人工子宮オルガノイドから誕生したアキテルは、理想的な肉体を持ち、「人間標本」と呼ばれて研究対象にされていた。しかし、彼は周囲から“世界一の幸せ者”とうらやましがられながらも、天才的頭脳を誇るクラスメイト、ダリウスをきっかけに、胸の奥で常に“何か足りない”と感じ始める。
エデン政府内では、極端な遺伝子編集を禁じる“保護派”と「科学の進歩こそエデンの使命」と主張する“革新派”が激しく対立。ふたりはやがて使節団や親の政治的思惑を巡る騒動に巻き込まれながら、閉ざされたエデンから、外界バビロンへ踏み出そうとする。
そこで待ち受けているのは、エデンが無視してきた混沌そのものである文化、宗教――。そこでアキテルとダリウスは、文明バビロン最大の"魔法"商会の箱入り娘である少女、セミラミスと出会い、冒険を始める。
10数年後、セミラミスはバビロンに見切りをつけ、エデンに移住する。しかし、エデンはかつてない政変に巻き込まれ、雲行きはあやしくなってゆく。
そして、ダリウスの死によって世界の行方は大きく揺らぎ始める。果たして、人類は“管理された幸福”の先に何を望むのか? 失われた世界との再会は、アキテルたちにどんな“生き方”を示すのか?
海外在住の現役研究者が贈る、科学×冒険×青春群像劇。
遺伝子操作やAIを突き詰めた社会で、魂の在り処を問うSFファンタジーが今、幕を開ける。
あなたの“理想”は、本当にあなたが求めたものだろうか――?折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-04-02 10:43:18
28608文字
会話率:38%
天才外科医・椙山六郎の前に現れたのは、自らの四肢に強い違和感を覚える美しき患者・厚岸雛子だった。彼女の切実な願いに、六郎は医療倫理と法律の壁を前に苦悩する。しかし、雛子の魂の叫びに触れた六郎は、ついに禁断の手術を決意する。
社会の常識
を覆す二人の選択は、医療界に激震を巻き起こす。失われた名声、迫り来る法の裁き。それでも、二人の絆は深まっていく。
果たして、この愛の形は正しいのか?社会は彼らを受け入れるのか?
医療の限界と人間の欲望が交錯する中、六郎と雛子の運命の行方とは――。
愛と倫理のグレーゾーンを鋭く描き出す、衝撃の医療ラブストーリー。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2024-10-16 19:00:00
21446文字
会話率:40%