レイヴン、怖いの、助けて!
姉上が恐ろしさのあまり泣きじゃくっていたから、おれは頷いてこう言った。
「姉上、入れ替わろう。大丈夫、俺たちは双子なんだから」
第一王子の兄上が、大国の姫君を侮辱した結果始まった戦争。結果は目に見えていて、こうし
て王城は落とされようとしている。何を狙っているかと言われたら、この国に恵みをもたらしていた聖姫を狙っての事だ。
聖姫はおれの双子の姉上の事。おれは大国に連れて行かれることを恐れる姉上の身代わりになり、女になる劇薬を飲み干し、姉上の部屋で運命の時を待っていた。
そこでおれが出会ったのは、奇妙な仮面をかぶった戦に馴れた武人。
武人はおれを姉上だと勘違いして、国に来れば民を助けると言い放った。
民に罪はないのだから、おれは頷き、その男の手を取った。
訳ありらしき武人と、シスコンだった元王子様。出会う事などないはずだった二人が出会い始まる、ヒロイックラブ! ……のはず。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-07-06 10:53:18
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会話率:38%