あの日、私の目の前に飛び散った赤を忘れることなんて出来ない。
大切で大好きだったアナタが傷つき、倒れた姿を見た私の中に生まれたのは恐怖だった。
強いアナタだって、死ぬことがあることをその時になって、ようやく思い至った。
もし、その原因が私
であったら、正気でいられるだろうか。
ーーーだから、逃げたのに。
「ずっと傍にいるって言っただろう?約束を違えるな⋯⋯」
珍しく弱った声に思わず、いつものように背の高い彼の頭を撫でた。
こんなことが癖になるほど、ずっと一緒だったなぁとボンヤリと思う。
そんな私の手をとったアナタは言った。
「責任をとって、俺と結婚してくれ」
懇願するように手の甲に落とされたキス。
この胸の高鳴りをアナタは分かっている?
「お前は目を離すとすぐに死にかけるからな。俺が守ってやりたいし、幸せにしたいんだ。⋯⋯なぁ、いいだろ?」
そう言って、目を細めて笑ったアナタの手を振り解くなんて、私には出来なかった。
ーーーだって、私はアナタが好きだから。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-02-23 20:15:47
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一日の終わりに。
思い出したくないことも、沢山あるかもしれないけれど。
画面に映し出す言葉は、忘れるな、ということよりも。
思い出せ、と、時々聞こえる。
そんなことを、言われている君へ。
最終更新:2015-03-11 23:00:23
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