自衛軍に入り、若くして退役後、中南米のゲリラに参加した。それがミユキ・ハジメの略歴だ。自己を主張したかった。自らの美学を貫きたかった……、なんていうのは言わば後付けの理由であって、実のところ、狙撃手という立場で仕事ができることで調子に乗って
いたのだろうと彼自身、思っている。
そんなふうに彼には確固たる信念がない。だからそう。張り詰めていた気持ちだって突如として破綻する。簡単に言うと、ニッポンが恋しくなったのだ。帰国後、まったく給料が得られなくなって職探しをしている折に『治安会』という組織の後藤と出会う。「ウチに来なよ」と勧誘される。新しい職場、新しい環境。どんな仲間ができるのかドキドキした。この上なくドキドキしたのだった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2019-07-14 10:10:56
91428文字
会話率:79%