<あらすじ>
ネットにもテレビにも、もっと言えば世間そのものにも自分の居場所がない気がする。悪意にも敵意にもうんざりさせられ、過剰な正義にも疲弊して、なんだか世界についていけない気分になる。
大学を卒業して社会人になって数年目となる塚本
は、自分でも認めるくらいに生きるのが下手だ。何が悪いというわけでもなく、気が付けば彼は理由もなく死にたくなるような日々を送っていた。
誰かを憎むわけでもなく、世間を恨むエネルギーもない。
うまくいかない人生において、すがるのは不戦勝な生き方だけ。
そんな彼にとって癒しの存在となるのが、スマホのメッセージアプリだけで相手をする少女、古橋凛華(リンゲちゃん)だ。ひきこもりを支援する大学時代のサークルで知り合ってから、社会人となった今もお互いに支えあうようにして生きている。
ある日、宝くじで高額当選した塚本は「真なる不戦勝生活」を送るために仕事を辞める。しかし、理想郷であるはずのそれは、いつしか彼の精神をむしばみ始めていた。
昔の知り合いなどと会話をするたび、ひきこもり生活を送る自分が世間とずれていっていると気づかされ、危機感を覚える。
このままではいけない。そう思いつつも大学生のころから片思いしていた小成さんに恋人ができたと聞き、以前にも増して自分がリンゲちゃんに依存していることに気づく。もう俺とは連絡を取り合わないほうがいい。そう伝えるものの、結局は彼女の救いの手を振り払えない。
そんな折、大学時代の知り合いに「もっと楽な仕事で稼がないか」と誘われる。それはネットで世間を煽るような仕事だ。自分とは違うと思いつつも、根本のところでは同じだと指摘されて悩む塚本。
それでも彼を励ましてくれるリンゲちゃんのため、そして少しずつでも社会復帰するため、小成さんの仕事を手伝い始める塚本だった。
<備考>
※本作は数年前に投稿していた同名の小説を全体的に書き直したものです。
※第三十回電撃小説大賞、一次落ちです。
※作中の表現、登場人物のセリフなどに何か問題があれば削除・修正します。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2023-08-06 23:43:34
156537文字
会話率:17%
どうにもならない、平和な世界。
最終更新:2023-06-03 22:56:19
490文字
会話率:0%
私はとある貴族の令嬢だ。
お茶会の帰り、迎えの馬車が来るのを待っていると……『階段から突き落とされた』と突然主催の女から難癖をつけられてしまった。
謝罪をしろと言われるも応じずにいると……やがて彼女は周囲の無関係な人達まで巻き込み、少しで
も味方を増やそうと御涙頂戴の芝居をし始めた。
彼女の口任せのデタラメ話は周りの人々を信じ込ませていき、あっという間に悪者にされてしまった私。
しかし。
そこで勝利を確信して調子に乗った彼女は、余計なひと言を言ってしまい……事態は一変、私の『不戦勝』で終わったのであった。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-12-12 14:30:45
7533文字
会話率:33%
将棋ソフト『棋脳』開発者の森松は山越永世名人との対戦を前に、勝利予測値70%超えを達成した。ところがプロジェクト責任者の立花部長は90%を超えるようにしろ、と言う。
『棋脳』は販売用ではなくプロとの対戦用で、対戦棋士の棋譜を対戦前に研究
し、盤面の類似性を独自の計算方法で評価して対戦相手が選ぶ手を予測することで強くなっていくソフトだった。対戦まで三日。スーパーコンピュータにとっては十分な時間だが、データとなる永世名人の棋譜が足りない。森松は違法な自動ハッキング機能を『棋脳』に組み込み、名人が所属する研究会や名人自身のパソコンから棋譜を集めることを可能にする。
夜動き続ける『棋脳』は、盤外戦により勝利予測値を上げる検討の過程で、今回の対戦における不戦勝ルールをみつける。一方が開始時間に対戦が開始できる状態になかった場合、他方の勝利とする、というルールは、『棋脳』がマシントラブル等で動かなかった場合を想定したものだったが、永世名人にも適用されるものだった。
病気やけが、交通手段のみだれや本人のうっかり遅刻などを検討していくうち、人間は死ねば100%対戦できなくなることから、それもひとつの手だと『棋脳』は認識する。
盤上での勝利予測値が70%そこそこ以上にならないなかで、駒を動かす特注アームを遠隔操作する機能とハッキングの機能の組み合わせで、放火殺人をシミュレートした『棋脳』は、消防から入手した数々の火事現場の図面と永世名人宅の周囲の地図の類似点から、92%の確率で殺人が成功し不戦勝を得ると評価する。そこには罪悪感や善悪の区別はおろか、微塵の意識もなく決められたステップに従った単なる計算結果しかなかった。
翌朝、予測値92%の手を発見しているのを見た森松は、内容を確認せずに、これ以上の検討をやめて、その手で対戦実施しろという命令を入力する。
そして、弱いAIは勝手に犯罪を実行する。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2022-10-01 00:02:22
18587文字
会話率:28%
プロのエア・ライダーとして齢七歳で大会に出場し、輝いていたが決勝戦を向かえた前日に事故に遭い、病院に搬送されていた。決勝戦は不戦勝で相手に勝利を与えてしまった。
事故で負った右腕は肩から指先まで裂かれていて、翔んでるときの衝撃に堪えられず
、彼は空を翔ぶことができなくなった。
転校先の学校で、もう自分とは縁がなくなったと思っていたスカイ・ライン、通称SLに成り行きで関わることとなる。
彼の運命はどうなっていくのか!折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-06-07 21:27:03
5086文字
会話率:28%
勇者が善なら魔王は悪。昔、誰かがそう言った。だから勇者は魔王に戦いを挑み、魔王は勇者と戦った。
しかしこのところ、勇者は魔王に戦いを挑む前に勝敗を放り投げ、魔王は勇者にひどく不本意な不戦勝を得ていた。
魔王と勇者とその周りの日常(たぶん)物
語。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2012-07-23 21:00:07
79220文字
会話率:63%
勝者が敗者の言うことを聞く、それはまるで王様ゲームのようなゲーム。そのゲームはとある事情により、中断を余儀なくされた。
最終更新:2009-06-01 20:12:43
1729文字
会話率:8%