人生で初めて受け取ったラブレター。
その文面には、可愛らしい丸文字が並び、差出人の純粋な想いが伝わってくるようだった。
「春」と書いて「しゅん」と読む、宮原春。そんな彼が手紙を受け取った事から、物語は始まる。
手紙を受け取った
春は、放課後の教室で、同級生の花咲姫子と偶然出会う。
二人は入学当初からの知り合いで、姫子は、春に密かに想いを寄せていた。
しかし、不器用な姫子は、春の前では、いつも刺々しい態度をとってしまい、そんな不器用な自分が嫌いだったし、「普通」とは違う自分に劣等感を抱いていた。
こんな自分にも恋は許されるのだろうか。
姫子はつい、そんな事を思ってしまう。
そんな二人は、友人らや学校の行事などを通して、互いの想いを確かめ合い、すれ違っていく。そのなかで、春も自分が抱いている想いに気付く。
僕は花咲の事が——。
しかし、春はそれより先の言葉をなかなか言い出せなかった。
お互いの想いは繋がりそうになるのだが、春は最後の一歩が踏み出せなかった。
僕は、怖いんだ。
春は臆病な自分が情けないと思いつつ、前に踏み出す勇気はなかった。
彼には、終わりが見えていたから。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2018-10-31 18:00:00
204784文字
会話率:24%
鬼道の姫、修理。その十五歳の時、女系である鬼道と天界との間に戦が始まる。時の天帝は好色、暴虐をもって、修理の母を死に至らしめたために鬼道の長である父と天軍が激突。天軍の若き勇将帝釈天は「人質」として生きてきた修理を愛しながら鬼道一族殲滅の指
揮を執ることとなる。そこから始まる、修理と帝釈天の戦いと恋。女たちの哀しみと優しさ。男たちの野望とはかなさ。不器用に生きる者たちの、それぞれの道である。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2015-06-20 17:04:53
28748文字
会話率:37%