由緒正しき伝統的な教会で懸命に働く聖女シェリーはある日、突然クビを言い渡された。
「え、何でですか?」
「アンタが嫌いだからよ。さあ、とっとと出て行ってちょうだい!」
と、教会の聖職者にそう脅されてシェリーは強制的に追い出された。
幸
いにも財布は持っていたので、数日間はそこそこ快適な生活を味わえた。しかし所持金は一週間も経てばほとんどが尽きてしまい、元聖女のシェリーはまるで浮浪者のように街を彷徨っていた。
「もう私、消えようかな……」
生きる希望を失ったシェリーは、皮肉にも蘇生儀式で使う際の短剣を握り締めた。そんな時、如何にも成り金といった風貌の少年が現れた。
「やあお姉さん、俺はトレバー・デサンタ。ギャンブラー兼トレーダーの金持ちな小僧さ。困ってそうだし助けようか?」
ギャンブラーにトレーダー————この二つの単語は金融に疎い彼女でも危険と分かるものだった。だから関わるべきではないと思ったが……
「お腹、空いたわね……」
このままだと死んでしまうので、彼女はこれで助かるならと、トレバーについて行くことに決めた。折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2025-02-23 23:17:13
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