アルカディア歴1395年6月28日、鮮血のように濃厚な紅色の空が世界を覆い尽くした黄昏時。二つの伝説が歴史の闇に葬られた。“白き終焉”と“黒き魔滅”と呼ばれた二人の青年。彼らの“死”をあるものは歓喜し、あるものは悲嘆し、そしてあるものは世
界――神への復讐を誓った。そんな凄惨な時代の記憶が人々から砂塵の如く消え失せたところで物語は始まる。白摩(ハクマ)零(リョウ)は凡庸で平穏な日常を淡々と過ごす、ありふれた高校一年生だ。しかし、表面上は飄々としているものの、その実、白摩の内面は6年前に総てを奪ったある事件から如何ともしがたい諦念を抱えていた。そんなある日、突如として現れた謎めいた妖艶な女に異世界へと送られる。訳も分からず右往左往していると、狼のような魔獣に襲われるエルフの美少女と邂逅する。癒し系の彼女に触れた瞬間から、運命の歯車は回り始めた。これは神に奪われたものを、一人の青年が全力で奪え返す物語。
折りたたむ>>続きをよむ最終更新:2014-09-29 02:00:00
47580文字
会話率:36%